パナマにおけるコーヒー生産

パナマにおけるコーヒー生産は、20世紀初頭にボケテ地域で本格的に始まりました。もともとパナマでは、太平洋沿岸地域に自生するコーヒーノキがありましたが、商業的な栽培は比較的最近のことです。国際コーヒー機関（ICO）は、パナマで栽培されるコーヒーをマイルドなアラビカコーヒーに分類しています。

特にボケテは、パナマで最も高品質なコーヒーが栽培される地域として知られています。2008年には、2つのパナマ産コーヒー銘柄がコーヒー・レビューで高く評価され、コスタリカ産のコーヒーよりも高値で取引されました。これは、パナマ産コーヒーの品質の高さを示す一例と言えるでしょう。

栽培されているコーヒーの82％はアラビカ種で、残りの18％はロブスタ種です。アラビカ種は、主にチリキ県の標高700mから1100mの高地で栽培され、パナマ産コーヒーの中でも最高品質とされています。これらの高地で栽培されるコーヒーは、スパイシーな風味、豊かな香り、マイルドな酸味が特徴です。中でも、Café Ruizは最も歴史があり、評価の高いコーヒー農園として知られています。また、Café Kotowa（「山」の意味）は、スコットランド人移民によって100年以上前に設立された、少量生産の農園です。ボケテには、国内最大のコーヒー生産工場も所在しています。

2013年の国際連合食糧農業機関（FAO）の統計によると、パナマのコーヒー生産量は10,100トンで、これは世界の生産量の約0.1％にあたります。作付面積は22,400ヘクタールで、1ヘクタールあたりの生産高は4509ヘクトグラムです。1961年から2015年までのコーヒー生産統計を見ると、最低生産量は1961年の402トン、最高生産量は1985年の1422トンとなっています。最新の2014年のデータでは510トンとなっており、生産量は変動しています。チリキ県とボカス・デル・トーロ県にまたがって居住するグナベ族の人々は、コーヒー生産を生計の手段としています。

パナマ政府は、主要な輸出品目であるコーヒーの苗木とコーヒー豆を、病害虫から守るための政策を実施しています。しかし、2013年にはコーヒーさび病、オホ・デ・ガジョ、コーヒーノミキクイムシによって20,097ヘクタールのコーヒー農園が被害を受けました。これらの病害虫は、コーヒー生産における大きな課題となっています。

パナマのコーヒーは、その高品質と独特の風味から、国際的にも注目されています。生産量はそれほど多くはないものの、丁寧に栽培されたコーヒーは、多くのコーヒー愛好家を魅了しています。今後もパナマのコーヒー生産には、高い品質を維持しながら、病害虫対策や生産量の安定化などの課題に取り組むことが求められるでしょう。

参考資料:
Baker, Christopher P.; Mingasson, Gilles (January 2007). Panama. National Geographic Society.
Schreck, Kristina (19 March 2007). Frommer's Panama. John Wiley & Sons.
Wood, Donald (9 April 2009). Economic Development, Integration, and Morality in Asia and the Americas. Emerald Group Publishing.
Woods, Sarah (2005). Panama. Bradt Travel Guides.

もう一度検索