パナマのカリブ海側の要塞群

パナマのカリブ海沿岸の要塞群

パナマに位置するカリブ海沿岸の要塞群は、ユネスコの世界遺産に登録されている重要な文化遺産です。この要塞群は、パナマの世界遺産の中で最初に登録されたものであり、地域の歴史や文化に深く根ざした意味を持っています。特に、ポルトベロに存在する五つの要塞跡と、サン・ロレンソ要塞の遺構が評価され、世界遺産に認定されました。

歴史的背景

ポルトベロは、スペインが植民地として支配していた時代において、銀の積出港として発展した重要な港町でした。この地域の経済は繁栄しましたが、その一方で略奪の危険も伴いました。敵の襲撃を防ぐため、ポルトベロには強化された防衛施設が必要とされ、その結果、17世紀前半に五つの要塞が建設されました。

これらの要塞は、湾の入り口においてはサン・フェリペ・トド・フィエロ要塞とサンティアゴ・デ・ラ・グロリア要塞が配置され、湾内にはサン・クリストバル要塞とサン・フェルナンド要塞が設けられました。さらに、港町の最奥部にはサン・ヘロニモ要塞も設立され、これら五つの要塞によってポルトベロの安全が確保されていました。

占領と改修

残念ながら、この要塞群も歴史の中で幾度かの攻撃を受けました。1668年には著名な海賊ヘンリー・モーガンの私掠船団による大規模な襲撃があり、1739年にはエドワード・ヴァーノン艦隊による占領も経験しました。現在見られる残存要塞は1750年代以降に改修されたものであり、国立歴史公園として遺産が保護されています。

サン・ロレンソ要塞

ポルトベロから南西におよそ60キロメートル離れたチャグレス川の河口近くにはサン・ロレンソ要塞が立っています。この要塞は17世紀に建設され、比較的損傷を受けることなく当時の姿が保たれています。サン・ロレンソ要塞は、その保存状態の良さと歴史的価値からも評価されており、パナマの歴史を語る重要な遺構とされています。

世界遺産としての価値

これらの要塞群は、スペインの植民地時代における軍事建築の技術と美しさを表代表的な例として示しています。そのため、ユネスコの世界遺産に登録され、世界的にも重要な文化財として認識されています。しかし、保存状態に関する課題もあり、2012年には危機遺産リストにも名を連ねました。

登録基準

この世界遺産は以下の登録基準を満たしています：
1. 人類の創造的才能を示す優れた作品であること。
2. 人類の歴史において重要な時代を体現する建築様式、技術の集積や景観の例であること。

これらの要塞群は、パナマの豊かな歴史と文化の象徴であり、後世にその価値を伝えるべき重要な遺産です。

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