パパは、出張中!

映画『パパは、出張中!』の紹介

1985年に公開されたユーゴスラビア映画『パパは、出張中!』は、監督エミール・クストリッツァによる作品で、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したことで名高い作品です。ストーリーは第二次世界大戦後のボスニア・ヘルツェゴビナに位置するサラエヴォを舞台に、少年マリクと彼の家族の物語を描いています。

ストーリー概略

映画は、幸せな家庭生活を送る6歳の少年マリクを中心に展開します。マリクは父メーシャ、母セーナ、そして祖父と共に日々を過ごしています。ある日、彼の父が突然逮捕されるという事件が起こります。メーシャが愛人であるアンキッツァに語った国家に対するささやかな批判が、政府の耳に届いてしまったことが原因でした。

父親の行方を尋ねるマリクに対して、母セーナは「パパは、出張中よ」という言葉だけを繰り返します。この返答は、父が出張に出たのではなく、実際には拘束されていることを知らせることができず、子供を守るための母の精一杯の嘘でした。

物語は、マリクが父親の不在によってもたらされた家庭の変化と、日本のように幸せだった日常が崩れていく様子を静かに描写します。彼は父が帰ってくる日を心待ちにしながら、日々の生活を続けます。とはいえ、周囲では戦争の影響を受けた人々が生活しており、サラエヴォの市民たちはその厳しい現実に直面しています。

キャスト

映画には、実力派の俳優が出演しています。主人公マリク役はモレノ・デバルトリ、父メーシャ役にはミキ・マノイロヴィッチ、母セーナ役にはミリャナ・カラノヴィッチが配されています。その他にも、ジーヨ役のムスタファ・ナダレヴィチや体操教師アンキッツァ役のミラ・ファーラン、祖父ムザフェル役のパヴレ・ヴイシッチ、マーシャ役のシルヴィア・プハリッチなど多様なキャストがしっかりとストーリーを支えています。

スタッフ

本作は、エミール・クストリッツァが監督を務め、アブドゥラフ・シドランが脚本を担当しています。映像美を生み出したのは撮影のヴィルコ・フィラチで、音楽はゾラン・シミャノヴィッチが手がけています。美術デザインや編集に関しては、Predrag LukovacとAndrija Zafranovicがそれぞれ担当し、全体の雰囲気を作り上げています。また、衣装デザインをDivna Jovanovicが行い、日本語字幕には清水馨が寄与しました。

結論

『パパは、出張中!』は、家族愛と戦争の現実を突きつける感動的な作品です。マリクの成長過程を通じて、視聴者は戦争という過酷な現実が人々の生活にどのような影響を与えるのかを考えさせられます。映画は美しい映像とともに、心に残るメッセージを届けてくれる一作です。

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