ミキ・マノイロヴィッチ

ミキ・マノイロヴィッチ：セルビアが生んだ国際派俳優

1950年、ユーゴスラヴィア（現セルビア共和国）の首都ベオグラードに生まれたミキ・マノイロヴィッチは、俳優一家に育ち、幼い頃から舞台芸術に囲まれた環境で育ちました。その才能は早くから開花し、1970年に俳優デビューを果たします。

旧ユーゴスラヴィア時代からテレビや映画で活躍し、着実にキャリアを積んでいったマノイロヴィッチ。しかし、彼の名を世界に知らしめたのは、巨匠エミール・クストリッツァ監督との出会いでした。クストリッツァ監督作品への出演を通して、国際的な評価を獲得することになります。

特に、1985年の『パパは、出張中!』と1995年の『アンダーグラウンド』は、彼の代表作として広く知られています。これらの作品でみせた圧倒的な存在感と繊細な演技は、世界中の観客の心を掴み、彼の国際的なキャリアの礎となりました。

クストリッツァ監督作品以外にも、マノイロヴィッチは数多くの映画やテレビドラマに出演。ヨーロッパ映画を中心に、多様な役柄に挑戦し続けています。フランス映画『恋人たちのポートレート』（1996年）、『クリミナル・ラヴァーズ』（1999年）、『青い夢の女』（2000年）など、国際的な作品への出演も多く、彼の演技力は国境を越えて高く評価されています。

彼のキャリアは、役者としての活動にとどまりません。2009年には、セルビア政府よりセルビア・フィルム・センターのプレジデントに任命され、セルビア映画界の発展に貢献しました。この役職を通して、彼はセルビア映画界の将来を担う存在として、その手腕を発揮しました。

ミキ・マノイロヴィッチのフィルモグラフィーは、多岐に渡り、彼の幅広い演技力を物語っています。近年では、『オン・ザ・ミルキー・ロード』（2016年）、『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』（2018年）など、話題作への出演も果たしています。

ベオグラードで生まれ育ち、旧ユーゴスラヴィア、そして現代セルビアの激動の時代を生き抜いてきたマノイロヴィッチ。彼の演技には、その経験が滲み出ているように感じられます。彼の作品は、単なるエンターテイメントを超え、歴史や社会、そして人間の複雑な感情を深く見つめる、芸術作品と言えるでしょう。

彼の長年にわたる活躍は、セルビア映画界のみならず、世界中の映画ファンに大きな影響を与え続け、これからも多くの作品を通して、その演技力と存在感を示し続けるでしょう。彼の今後の活躍にも期待が高まります。

主な出演作品

パパは、出張中! (Otac na sluzbenom putu, 1985)
アンダーグラウンド (Underground, 1995)
恋人たちのポートレート (Portraits chinois, 1996)
クリミナル・ラヴァーズ (Les Amants criminels, 1999)
セット・ミー・フリー (Emporte-moi, 1999)
青い夢の女 (Mortel transfert, 2000)
ゲート・トゥ・ヘヴン (Gate to heaven, 2003)
美しき運命の傷痕 (L'Enfer, 2005)
やわらかい手 (Irina Palm, 2006)
ウェディング・ベルを鳴らせ! (Zavet, 2007)
さあ帰ろう、ペダルをこいで (Svetat e golyam i spasenie debne otvsyakade, 2008)
ラルゴ・ウィンチ (Largo Winch, 2008)
愛人のいる生活 (Just Between Us, 2010)
愛のラスト・チャンス (COMO ESTRELLAS FUGACES LIKE SHOOTING STARS, 2012)
オン・ザ・ミルキー・ロード (On the milky road, 2016)
ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を (The Bra, 2018)

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