パフィオペディルム・サンデリアヌム

パフィオペディルム・サンデリアヌム（学名：Paphiopedilum sanderianum）は、ラン科に属する植物で、カリマンタン島北西部のムル山に固有の種です。別名としてオバケトキワランとも呼ばれています。この植物は、その特異な外観と希少性から、植物愛好家の間で非常に人気があります。

形態と特徴

パフィオペディルム・サンデリアヌムは大型のランで、温暖から高温の環境を好みます。カリマンタン島の岩場に自生し、成体になると、赤みを帯びた茶色の花を2～5個同時に開花させます。花の幅は7～10センチメートルほどで、特に注目すべきはその側花弁です。淡黄色に暗紫紅色が混じる側花弁は、リボンのようにねじれながら数十センチメートルも垂れ下がり、その特異な形状が大きな特徴です。この花弁の長さは、ラン科植物の中でも最長とされています。また、各個体は4～5枚の光沢のある淡緑色の葉をつけ、葉の長さは45センチメートル、幅は4～6センチメートルに達します。花の寿命は5～7週間と比較的長く、観賞期間も楽しめます。染色体数は2n=26です。

種小名である「sanderianum」は、この植物を発見したヘンリー・フレデリック・コンラッド・サンダーに由来します。

歴史

パフィオペディルム・サンデリアヌムが最初に発見されたのは1885年で、ヘンリー・フレデリック・コンラッド・サンダーの収集家仲間であるJ.フェルスターマンによって発見されました。その際、1メートルを超えることもある花弁の長さが大きな話題となり、ラン科植物の中でも特異な存在として知られるようになりました。その後、多くの交配に親種として利用されましたが、その雑種で親のような異常に長い花弁を持つ種は現れませんでした。20世紀に入ると、栽培されていた個体は失われ、野生の個体群も絶滅したと考えられていましたが、1978年にイワン・ニールソンによって再発見されました。現在、野生の個体群はグヌン・ムル国立公園で保護されています。

生育環境

この植物は、非耐寒性の常緑多年草で、グヌン・ムル国立公園周辺に分布しており、標高100～500メートルの場所に生育しています。開花時期は4月から6月です。急峻な苦灰岩質の石灰岩の頂上付近に生息し、生育環境の平均気温は22～25℃です。適度な日陰で、石灰質のpH7.3～7.5の環境を好み、コケや落ち葉、岩に付着した根で生育しています。また、年間を通して多くの降雨を必要とする環境で成長します。

参考文献

『園芸植物大事典 5』小学館、1989年12月20日

関連項目

生物に関する世界一の一覧

外部リンク

* パフィオペディルム・サンデリアヌム>>植物図鑑 - 筑波実験植物園

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