パプアニューギニアにおける死刑

パプアニューギニアにおける死刑制度の歴史

パプアニューギニアの死刑制度は、オーストラリアの統治下の1954年を最後に、長い間執行されていない状態が続いていました。独立が宣言された1975年以降も、実質的に死刑廃止とみなされていたのです。しかし、1991年に刑法典改正により殺人に対する死刑が再導入され、以降の動向には多くの波乱がありました。

死刑廃止から再導入までの経緯

1954年以来、パプアニューギニアでは死刑が執行されず、1970年には正式に死刑制度が廃止されました。しかし、1991年に暴力犯罪の増加を受け、国会は死刑を再度法定刑とすることを承認しました。この再導入に際しては、当時の首相が犯罪抑止策としての死刑の効果を強調し、最終的に国会で死刑に賛成する意見が集まりました。

ただし、再導入後も実際の執行は行われませんでした。1995年には最初の死刑判決が出されたものの、執行に至ることはありませんでした。法律には執行に関する規則が存在しましたが、その詳細については定められていなかったため、実務には結びつかなかったのです。

2000年代における死刑執行への動き

21世紀に入ると、社会情勢が変化し、死刑を再開しようという動きが再び現れました。特に2003年のポートモレスビーでの殺人事件は、その契機となりました。議員の中には、死刑の再開を支持する声が上がり、法律の見直しが進められることとなります。

しかし、世論は一様ではありませんでした。強力な反対意見も存在し、教育や伝統的価値に重きを置く声から、犯罪抑止としての厳罰化を求める意見まで多岐にわたりました。

複雑な死刑問題の議論

2009年には、検事総長が死刑執行に関する具体的な規定を示唆しましたが、死刑をめぐる議論や反発が続いていました。2013年頃には特に激しい議論となり、殺人事件の増加が死刑執行再開の下地になりました。この年には、法改正が行われ、刑罰の適用に広がりが見られました。

政府は死刑を抑止策として再開する姿勢を示しましたが、理念と現実の間にある大きなギャップは、依然として問題の根底に存在していました。

2022年における死刑廃止

その後、2015年から2016年にかけて、死刑執行の再開が見直される時期が訪れました。そして2022年1月、国会によって死刑が正式に廃止されることが決定されました。これにより、代わりに仮釈放なしの終身刑が定められ、過去の死刑判決は減刑されることとなりました。

現状と今後

パプアニューギニアの死刑制度は、国の歴史とともに大きな変遷を遂げています。今後は死刑に代わる新たな法制度が設けられ、より人権に則した社会が形成されていくことを期待しています。このような背景を踏まえ、今後の法律や社会の動向が注目されます。

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