パラサイト・イヴ

瀬名秀明のデビュー作であり、第2回日[[本ホラー小説大賞]]を受賞した『パラサイト・イヴ』は、ミトコンドリアを題材にしたSFホラー小説です。著者が東北大学薬学部の博士課程に在籍していたという経歴も話題となりました。作品の舞台は仙台市をモデルとしており、東北大学薬学部や医学部周辺の風景が描かれています。

概要

この小説は、人間の細胞内に存在するミトコンドリアが反乱を起こし、人類を脅かすという斬新な設定が特徴です。単行本と文庫本を合わせて100万部を突破する大ヒットとなりました。受賞直後の1995年にはラジオドラマ化され、1997年には実写映画化、1998年にはプレイステーション用RPGとしても発売されました。ゲーム版は小説をベースに舞台をニューヨークに移し、美麗なCGと音楽で人気を博し、シリーズ累計で300万本以上を販売しました。

あらすじ

物語は、現代社会において「遺伝子の支配」から解放されたように見える人類に対し、太古の昔から寄生していた利己的遺伝子「イヴ」が反乱を起こすところから始まります。優秀な生化学者である永島は、事故で亡くなった妻・聖美の肝細胞から「Eve1」を培養し始めます。Eve1は驚異的な速度で増殖し、ついには永島の教え子である朝倉佐知子の体を乗っ取ります。朝倉に乗り移ったEve1は、ミトコンドリアの人間界への進出を宣言し、永島を誘惑して精子を奪います。さらに、聖美の腎臓を移植された少女・麻理子の体と永島の精子を用いて「完全な生命体」を誕生させようとします。

永島、吉住、麻理子の父が駆けつけた時には、既に完全生命体・イヴは誕生し、人々への攻撃を開始します。永島の犠牲によりイヴは消滅しますが、研究室から「Eve」のラベルが付けられた試験管が発見され、朝倉は「イヴの反乱は再び起こり得る」という不安を抱きつつ、それを廃棄する場面で物語は幕を閉じます。

映画版

1997年に公開された映画版は、落合正幸監督がメガホンを取りました。原作のストーリーを大筋では踏襲していますが、ホラー要素よりもラブストーリーの要素が強く、ラストシーンは原作とは異なる展開になっています。

キャスト
永島利明：三上博史
永島聖美／Eve1：葉月里緒菜
吉住貴嗣：別所哲也
朝倉佐知子：中嶋朋子
大野達郎：稲垣吾郎
安斉麻理子：大村彩子

スタッフ
監督：落合正幸
脚本：君塚良一
音楽：久石譲

漫画版

しかくのによる漫画版も存在し、映画版の設定をベースに独自の要素が加えられています。全1巻で完結しています。

ラジオドラマ版

1995年にTBSラジオで放送されたラジオドラマ版は、全44話で構成されています。原作に忠実な内容で、後にCD化もされました。ミトコンドリアに関する図説やシナリオを掲載したブックレットが付属した豪華な仕様で販売されました。

キャスト
長島利明：難波圭一
長島聖美：天野由梨
朝倉佐知子：新山志保
安斉麻理子：丹下桜
イヴ：榊原良子

スタッフ
原作：瀬名秀明
脚本：吉田玲子
演出：佐藤司
音楽：佐藤ヨシユキ

各話リスト（ラジオドラマ版）

第一話「イヴの目覚め」
第二話「脳死判定」
第三話「選ばれた男」
第四話「適合者」
第五話「永遠の命」
第六話「心臓停止」
第七話「腎臓摘出」
第八話「予感」
第九話「遠い記憶」
第十話「移植成功」
第十一話「細胞、EVE」
第十二話「恐怖の足音」
第十三話「悪夢」
第十四話「増殖する魔女」
第十五話「共生」
第十六話「忍びよる影」
第十七話「狂気の愛」
第十八話「恐るべき進化」
第十九話「あやつり人形」
第二十話「宿主殺害」
第二十一話「異常な細胞」
第二十二話「ミトコンドリアの罠」
第二十三話「襲われた女」
第二十四話「奇妙な変化」
第二十五話「冬の嵐」
第二十六話「動く内臓」
第二十七話「新しい女王」
第二十八話「解放の日」
第二十九話「恐るべき演説」
第三十話「最終進化」
第三十一話「イヴの時代へ」
第三十二話「受精卵」
第三十三話「狙われた娘」
第三十四話「地下暴走」
第三十五話「少女の受難」
第三十六話「繁栄への野望」
第三十七話「処女懐胎」
第三十八話「誕生」
第三十九話「イヴの誤算」
第四十話「消滅」
第四十一話「親と子」
第四十二話「最期の賭け」
第四十三話「終結」
第四十四話「果てしない夢」

外部リンク

パラサイト・イヴ MESSAGE From 三上博史 - 映画版ホームページ
パラサイト・イヴ - allcinema
パラサイト・イヴ - KINENOTE
パラサイト・イヴ - オールムービー（英語）
* パラサイト・イヴ - IMDb（英語）

『パラサイト・イヴ』は、小説、映画、ゲーム、ラジオドラマと様々な形で展開され、多くのファンを魅了し続けています。その斬新な設定と科学的な考察は、現代でも色褪せることなく、新たな読者や視聴者を惹きつけています。

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