パラサイト (1998年の映画)

パラサイト（The Faculty）

1998年にアメリカで製作されたSFホラー映画。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』などで知られるロバート・ロドリゲスが監督を務め、青春ホラーのヒットメーカーであるケヴィン・ウィリアムソンが脚本を担当しました。

物語

物語の舞台は、アメリカ中西部のオハイオ州にある、ごく平凡な高校、ハリントン高校。そこは、いじめやスクールカーストが存在する、どこにでもあるような学校でした。そんなある日、学校で孤立しがちな優等生のケイシー・コナーは、校庭で不可解な生物の死骸を発見します。彼はそれを生物教師のもとへ持ち込みますが、水槽に入れられたその生物は、再び奇妙な動きを見せ始めます。

時を同じくして、新聞部部長でチアリーダーのデライラ・プロフィットは、周囲の大人たちの様子に違和感を覚え始めます。教師たちの言動はどこか不自然で、以前とは全く別人格になったかのような冷たい雰囲気を漂わせています。次第に、学校の生徒たちの間でも、教師や他の大人たちの異変が噂されるようになります。

この異常事態に気づいたのは、ケイシーやデライラだけではありませんでした。校内で密かに違法な薬物を売買する不良のジーク・タイラー、他人との関わりを避けるSFオタクのストークリー・ミッチェル、フットボール部キャプテンとして注目されるスタン・ロサド、そして最近転校してきたおとなしい少女メアリーベス・ハッチンソン。普段は接点のない個性的な生徒たちが、偶然の出来事をきっかけに異変の真相に迫ることになります。

彼らは、大人たちが未知の寄生生物「パラサイト」に脳を乗っ取られ、操られていることを知ります。パラサイトは人間の体を器として利用し、まるで生きた操り人形のように大人たちを動かしているのです。さらに生徒たちは、パラサイトには「カフェイン」が強力な弱点であるという、意外な事実を発見します。ジークが所持していた、カフェインを主成分とする自作の覚醒剤が、唯一の対抗手段となり得ることが判明するのです。

生徒たちは、既にパラサイトに侵食された学校から脱出し、寄生された大人たちから逃れながら、この危機を食い止めるために団結します。しかし、敵は巧妙で、生徒たちの間にも既にパラサイトが潜り込んでいる可能性が浮上し、疑心暗鬼に苛まれます。仲間が一人、また一人とパラサイトに寄生されていく絶望的な状況の中、彼らは事態の元凶であるパラサイトの「親玉」を倒すことを決意します。

親玉の正体は、予想だにしなかった人物、転校生のメアリーベスでした。彼女こそが、地球侵略のために学校を拠点として選び、仲間を増やしていたパラサイトの女王だったのです。正体を現したメアリーベスは巨大化し、圧倒的な力で生徒たちに襲い掛かります。追い詰められた生徒たちは、ジークの薬を武器に、最後の抵抗を試みます。特にケイシーは、仲間たちの犠牲を乗り越え、自らも危険を冒して親玉との最終決戦に挑みます。彼の捨て身の行動が成功し、ついにメアリーベスは撃退されます。

親玉が倒されたことで、寄生されていた大人たちも解放され、学校に平穏が戻ります。ケイシーは学校のヒーローとして称賛され、彼の活躍は地元新聞でも大きく取り上げられるのでした。

主要登場人物

ケイシー・コナー: 学校で孤立しがちな眼鏡の優等生。偶然発見したパラサイトをきっかけに、異変の真相に迫る中心人物となる。最後まで諦めずに戦い、親玉を倒す立役者となる。
ジーク・タイラー: 学校公認の問題児だが、薬学に詳しい博識な一面を持つ。彼が持つカフェイン入りの自作薬が、パラサイトに対抗する唯一の武器となる。事件解決後、少し心境の変化が見られる。
デライラ・プロフィット: 新聞部部長とチアリーダーを兼任。社交的だが、世間体を気にするタイプ。教師たちの異変にいち早く気づき、生徒たちの情報共有の中心となるが、途中でパラサイトに寄生されてしまう。
ストークリー・ミッチェル: SFやホラー、ゴス趣味を持つアウトサイダー。他人との深い関わりを避け、皮肉な言動が多い。親玉の正体を見抜くが、その後に寄生されてしまう。
メアリーベス・ハッチンソン: おとなしそうな転校生だが、その正体はパラサイトの女王。人間社会に紛れ込み、静かに侵略を進める。
スタン・ロサド: フットボール部のキャプテン。周囲からの期待にプレッシャーを感じている。物語の途中でパラサイトに寄生される。

この作品は、未知の恐怖が日常を侵食するというホラー要素に加え、生徒たちが一致団結して危機に立ち向かう青春ドラマとしての側面も持ち合わせています。当時の高校生の生態をリアルに描きつつ、そこに非日常的なSF要素を組み合わせたユニークな作品となっています。

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