パラドックス13

『パラドックス13』

『パラドックス13』は、日本を代表する作家、東野圭吾によるサスペンス小説で、2007年から2008年にかけて週刊誌『サンデー毎日』に連載された作品です。2009年4月に毎日新聞社より書籍化され、さらに2014年には講談社文庫版も発行されています。本作は、原因不明の現象が引き起こす極限の状況の中で、登場人物たちが倫理を超えた選択を強いられながら生き延びようとする姿を描いています。

あらすじ

物語は、2023年の3月13日、13時13分13秒に発生する「P-13」と呼ばれる現象に直面する政府の極秘対策から始まります。この現象について、学者や政治家たちも具体的な詳細が分からず、危険な行動を控えるよう通告される一方で、国民への情報は完全に隠されていました。

その頃、主人公の刑事、久我冬樹は、兄の誠哉と共に強盗犯を逮捕する任務に取り組んでいましたが、冬樹の不注意によって誠哉が重傷を負い、冬樹自身も怪我をします。意識を取り戻した冬樹は、荒廃した東京で孤独にさまよう中、他のサバイバーたちと出会います。驚くべきことに、彼の目の前には、亡くなったと思われていた兄・誠哉の姿もありました。

彼らは、訳もわからぬまま廃墟の街を歩き続けるうち、次々と襲いかかる天変地異や疫病に直面します。生き残った人々は、それぞれの過去や秘密、そして信念に向き合わされ、共に過酷な選択をしなければならなくなるのです。

登場人物

久我冬樹（くが ふゆき）

刑事として働く冬樹は、元々教師志望だったものの、母の希望で警察の道を選びました。普段は自信家でありながら、時折スタンドプレーに走り、失敗を引き起こす性格です。また、兄との関係は緊張感を持っており、互いに悩みを抱えています。

久我誠哉（くが せいや）

冬樹の兄であり、警視庁の管理官。性格は冷静かつ理知的で、P-13後の世界でも隊のリーダーとして活躍します。母から共通の血を受け継ぐが、冬樹とは性格が対照的です。

中原 明日香（なかはら あすか）

女子高生でフットサル部に所属しています。彼女もまた、現状に戸惑いつつも、仲間の一員として行動します。

山西繁雄（やまにし しげお）

明日香の近くにいた老人であり、彼のひと言が若者たちを勇気づける場面も多く見られます。

山西春子（やまにし はるこ）

繁雄の妻。彼女もまたこの困難な状況を共に耐え抜く一人です。

その他の人物

戸田正勝、富田菜々美、ユーザーの友人・新藤太一、心に傷を負った白木栄美子、失語症の白木ミオ、そして生存していた赤ん坊の勇人と、どのキャラクターもそれぞれの背景を持っています。

物語は、彼らが直面する数々の困難を通じて、選択の重要性、そして距離を超えた絆を探求します。『パラドックス13』は単なるサスペンスではなく、人間性や存在について深く考えさせる作品です。

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