パラパル

パラパル

『パラパル』は、日本の漫画家・石田拓実によって創作された作品であり、2005年3月から2008年11月まで、集英社の『Cookie』に連載されていました。この作品は、全9巻から成り立っており、既存の枠を超えた独自の視点で描かれています。タイトルの「パラパル」という名称は、パラサイトの「パラ」とペンパルの「パル」を組み合わせたもので、物語のテーマを示唆しています。

あらすじ

物語は、普通の16歳の高校生・池野小牧が主人公です。彼女の日常は突如として変わります。ある晩、見知らぬ少年が自分の中に入ってくる夢を見た小牧は、その後奇妙な体験をします。目が覚めると、彼女の嗅覚は異常に鋭くなっており、同時にどこからともなく聞こえる謎の声に導かれます。その声の主はハナと名乗る宇宙人で、彼女の仲間たちの捜索と回収を目的に地球にやって来たと言います。

事態が進む中、小牧にしか聞こえないハナの声が、同級生の鶴見にも聞こえることが判明。二人は協力し、ハナの仲間を見つけるための冒険に乗り出すことになります。この過程で、小牧の成長や周囲との関係が深く描かれていきます。

登場人物

池野 小牧（いけの こまき）

16歳の普通の女子高生。家族は父、母、弟がいます。成績は平均的で特に目立った趣味も持たない彼女ですが、ハナの寄生によって嗅覚が極端に発達します。恋愛に対しても考えを巡らせるようになり、周囲の人間関係が彼女に影響を与えていきます。彼女は、彼氏の浮気を嗅ぎつけることで、恋愛に関する認識を新たにし、成長を重ねる姿が印象的です。

鶴見（つるみ）

小牧の同級生で耳が非常に良い男の子です。彼は祖母と二人三脚で暮らしており、彼女からは「ギンちゃん」と呼ばれています。彼もまた、鈍感な社会の本音を聞き取ることができる能力に悩まされる一方で、小牧と共に危険な冒険に挑むことになります。

ハナ

小牧の脳に寄生する宇宙人で、調査隊のメンバーの救助を目的に地球にやって来た存在です。彼女の意図や方策、感情に触れることで、物語はより深みを増していきます。彼女が持つ特異な視点から見る人間社会も、作品の興味深い側面の一つです。

その他のキャラクター

物語には、他にも黒川莉花や四条友昭など個性的なキャラクターが登場します。黒川は複雑なトラウマを抱え、四条は独特な調理の才能を持つ、彼女たちの物語もまた、小牧や鶴見との関わりを通じて多様性を表現します。そして、彼女たちの行動がどのように物語に影響するのかが、連載を通じてのポイントとなります。

世界観

作品の背景には、特異な生殖に関する視点が織り込まれています。ハナの仲間は地球での生殖研究のために来た調査隊で、彼らの世界では生殖機能が著しく減少しています。物語の中で、生殖に関する特殊な社会構造や、種の存続を賭けた危機感が浮き彫りになっていくのです。この緊迫感が、小牧たちの冒険に緊張感を与え、読者を引き込む要素となっています。

書誌情報

『パラパル』は、石田拓実によって描かれた全9巻の作品で、シリーズは集英社の《りぼんマスコットコミックスクッキー》の一部として刊行されました。読者に向けて描かれたこの物語は、独自の視点から恋愛と成長、社会問題を提起し、深いメッセージ性を伴った作品として、今なお多くのファンに支持されています。

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