パラペット

パラペットの概要

パラペットとは、屋上、ベランダ、橋梁や埠頭の端に設けられる低い壁のことを指します。この壁は「扶壁」や「手すり壁」とも呼ばれ、特に屋根部分において重要な役割を果たします。パラペットの存在により、構造物の接合部の強度が向上し、防水効果が高まります。また、落下のリスクを軽減するため、さまざまな建築物に設けられています。

構造と機能

パラペット自体は主に鉄筋コンクリート造の建物で見られ、特に陸屋根の周囲に設けられることが一般的です。その役割は、雨水が外壁に流れ落ちることを防ぐことにあります。パラペットの設置後、建物の屋根スラブと一体でコンクリートが打設されます。

ただし、パラペットの高さが低いため、完全に落下を防げるわけではありません。例えば、防水シートの設置作業中にパラペットを越えたところで後ろ向きに落下する事故が報告されています。こうした事故は特にリスクを伴い、パラペットの設計においては安全上の考慮が欠かせません。

防水構造

パラペットには防水性を考慮した二つの基本構造があります。一つは水切りあごタイプで、立ち上がり面にコンクリートの出っ張りを設け、その下端で防水層を終わらせるものです。もう一つは、笠木タイプで、パラペットの天端にセメントや金属製の笠木を取り付けます。

防水層は屋根スラブの上面とパラペットの立ち上がり面に一続きで設ける必要があります。従来の方法では、防水層がパラペット上端の途中までしか施工されず、その上に笠木が設置されることが一般的でしたが、この方式では雨水が入り込むリスクがあり、コンクリートのひび割れを引き起こす原因にもなります。これを防ぐためには、防水層をパラペットの上端を含めて外壁にかぶせる工法が推奨されます。

寸法と安全基準

パラペットの設計には、落下防止のための予防策が求められます。人が屋上に出入りする場合、パラペットの高さは最低でも1.1メートル以上でなければなりません。また、パラペットの上に柵を設置することで、高さを1.1メートル以上に保つことも可能です。さらに、人が出入りしない場合でも、150mm以上の立ち上がりを設けることで防水工事が行える構造とする必要があります。

これらの設計基準を守ることで、パラペットはその重要な役割を果たしつつ、安全性を維持することができます。

• ---

参考文献

• - 印藤文夫 『マンションの劣化・修繕の知識』 鹿島出版会（2000年）
• - 瀬川康秀・大野隆司 『世界で一番楽しい建物できるまで図鑑 RC造・鉄骨造』 エクスナレッジ（2019年）
• - 建築知識『超図解でよくわかる建築現場用語完全版』エクスナレッジ（2022年）

もう一度検索