陸屋根

陸屋根について

陸屋根（ろくやねまたはりくやね）は、傾斜のない平面状の屋根を指し、一般的には平屋根（ひらやね）とも称されています。「陸」という言葉は水平を意味し、その反対が「不陸」となります。陸屋根を持つ建物の上部は屋上として知られています。平面的な構造の陸屋根は、傾斜がある勾配屋根と対を成します。

構造と特性

陸屋根は一般的に水平な形状をしていますが、完全に水平な状態は存在しません。水が屋根表面に残ることを防ぎ、屋根のひび割れによる雨水侵入を防止するために、わずかな勾配が必要です。施工後にも、経年変化によりひび割れなどが生じる可能性があるため、適切な排水や防水施工が必要です。陸屋根には「ルーフドレイン」と呼ばれる排水口が設けられ、緩やかな排水勾配が重要です。

日本の建築基準法では、特定の条件を満たさない限り、陸屋根の面積が階数の算出に影響を与えることはありませんが、高さ制限や日影規制などには注意が必要です。

各要素の役割

ペントハウス

ペントハウスとは、屋上に突出した小さな部屋やスペースのことで、昇降機室や収納、屋上へのアクセスを提供する役割を持ちます。この部分は塔屋とも呼ばれます。

パラペット

パラペットは、陸屋根の周囲に立ち上がった部分であり、歩行者の落下を防ぐほか、雨水が外壁に流れ込むことを避ける役割を果たします。

陸屋根の利用

陸屋根は、通常居住空間が直方体状であるため、建材の使用量を抑えることが可能です。この特性から、木材が入手しにくい地域、特に中東やアフリカの乾燥地域では古くから利用されてきました。しかし、この屋根の欠点は排水性が低いことであり、近代以前は高耐久な建材が存在せず、時間が経つとともに屋根が下がり、排水性がさらに低下したり、雨水や雪の重みにより陥没するリスクもありました。このため、近年まで多雨地域や積雪地域では普及が進まなかったのです。

しかし、屋上に様々な施設を設けうる機能から、高層ビルやマンション、特に病院などの特殊な建築物には多くの陸屋根が見受けられます。また近年では、一般住宅でもデザインの観点から採用されるケースが増えています。雪の多い地域では、落雪事故を防ぐために、鉄筋コンクリート構造の陸屋根住宅も増加しています。

沖縄では、年間で平均7回の台風が襲来するため、強度を重視した陸屋根が多く見られます。さらには、雨が短時間で海に流れ込むため、定期的な水不足に対応するための貯水タンクも設置されています。

屋上緑化と設備機器の設置

近年、屋上緑化が注目を集めており、庭園や菜園としての利用も進んでいます。この場合には、土壌の重量に対する屋根の構造強度と、根の侵入を防ぐ対策が重要となります。また、設備機器を設置する際も、基礎コンクリートや機器の重さに対する計画が求められ、効果的な防水処理が必要です。

このように、陸屋根には多くの利点と課題が存在し、用途に応じた設計が求められています。

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