パリ・ブレスト

パリ・ブレストとは

パリ・ブレストは、フランスを代表する伝統的な焼き菓子の一つです。リング状のシュー生地にクリームを挟んだ形状が特徴で、そのシンプルながらも奥深い味わいで多くの人々を魅了しています。日本では、リング状のシュークリームを意味する「リングシュー」と呼ばれることもあります。

概要

パリ・ブレストの基本は、リング状のシュー生地であることのみで、具体的な製法に厳格な決まりはありません。そのため、シンプルなものではリング状のシュークリームとして提供されることもあります。内部に挟むクリームも様々で、プラリネを加えたアーモンド風味のバタークリームが定番ですが、コーヒー風味のクリームなども使われます。また、生地の表面にスライスアーモンドを飾ったり、粉砂糖を振りかけたりすることもあります。大きさも様々で、ホールケーキのように大きなものには、クリームとともに小さなシュー生地が挟まれることもあります。

起源

パリ・ブレストは、1891年に開催された自転車レース「パリ・ブレスト・パリ」を記念して作られたと言われています。この菓子の形は自転車の車輪を模しており、考案者はレースのコース沿いにあった菓子店「メゾン・ラフィット」の職人ルイ・デュランであると考えられています。ただし、デュランはパン職人であったという説もあります。彼がプラリネ入りのクリームを挟んだのは、レース参加者の体力増強を目的としたためだと言われています。その後、パリ・ブレストはフランス全土で愛されるようになり、代表的な菓子の一つとなりました。

また、1909年にパリとブレストを結ぶ鉄道が開通したことを記念して作られたという説もあり、列車内で販売されていたとも言われています。

特記事項

パリ・ブレストに似た菓子として、「パリ・ニース」というものがあります。これは、別の自転車レース「パリ〜ニース」を記念して考案されたもので、パリ・ブレストのプラリネクリームの代わりにクレーム・シブーストが挟まれています。

まとめ

パリ・ブレストは、その誕生から長い年月を経た今もなお、多くの人々に愛され続けているフランスの伝統菓子です。シンプルな見た目ながらも、製法やクリームのバリエーションによって様々な味わいを楽しむことができ、その奥深さが魅力の一つと言えるでしょう。

参考文献

岡田哲編『世界たべもの起源事典』（東京堂、2005年4月）
猫井登『お菓子の由来物語』（幻冬舎ルネッサンス、2008年9月）
吉田菊次郎『西洋菓子 世界のあゆみ』（朝文社、2013年2月）
ニナ・バルビエ、エマニュエル・ペレ『名前が語るお菓子の歴史』（北代美和子訳、白水社、1999年12月）
Pourquoi la pâtisserie le Paris-Brest s'appelle ainsi ?

関連項目

エクレア

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