アーモンド

アーモンドの概要

アーモンド（英名: Almond）は、バラ科サクラ属に属する落葉高木であり、その果実から得られる種子が「生アーモンド」として食用として広く利用されています。日本では古くから「ヘントウ」や「扁桃」とも呼ばれ、アンズやモモ、ウメといった近縁種に分類されます。果肉自体は薄く、食べられる部分は種子のみとなっています。

呼称

アーモンドは、一般的に「アメンドウ」とも呼ばれることがあり、またその学名により「ハタンキョウ」（巴旦杏）と称されることもあります。ただし、スモモの一品種「トガリスモモ」も同じ名前で呼ばれることがあるため、混同に注意が必要です。名称の由来として、ヒトの咽喉にある「扁桃」という器官と形状が似ていることが挙げられます。

産地

アーモンドの原産地はアジアの西南部で、現在では南ヨーロッパ、アメリカ合衆国、オーストラリアなどで栽培されています。特に、カリフォルニア州が世界最大の産地となっています。日本においては、小豆島や鹿児島、宮崎、山形県などで栽培されており、山形県では朝日町から始まった栽培が現在も行われています。

植物的特徴

アーモンドの木は樹高約5メートルに成長し、春になると葉のない枝に白や桜色の花が咲きます。花はサクラに似ているものの、花柄が短いため、枝に接しているように見えるのが特徴です。実は7 - 8月に熟し、果実が自然に落下することはないため、「ツリー・シェイカー」と呼ばれる機械で収穫されます。

スイート種とビター種があり、一般的に食用として流通しているのは甘味があるスイート種です。このスイートアーモンドには、ノンパレイユやカリフォルニアなど多くの品種があります。一方のビター種は医薬用途や香料の原料として利用されるものの、摂取には注意が必要です。ビターアーモンドには有害なアミグダリンが含まれており、誤って多量に摂取すると危険な状況を引き起こします。

利用方法

アーモンドはそのまま食べるだけでなく、様々な形で料理やお菓子に利用されています。たとえば、ローストしたり、スライス、粉末、ペースト状にしたアーモンドは、料理や洋菓子の材料として利用されます。また、種子から絞り出したアーモンドミルクも人気の飲料です。特に中世のヨーロッパでは、アーモンドやその製品が料理に多く使われ、多彩なレシピが生まれました。

日本ではアーモンドを使ったスナック菓子「アーモンドフィッシュ」が販売されています。さらに、アーモンドオイルも料理に使われ、またキャリアオイルとしても重宝されています。

栄養価

アーモンドは非常に栄養価の高い食品で知られています。100グラムあたり約30ミリグラムのビタミンEが含まれており、抗酸化作用を持ち、老化や心血管疾患、糖尿病の予防に寄与するとされています。また、亜鉛やマグネシウム、カリウム、鉄分も豊富です。

さらに、アーモンドには豊富な不溶性食物繊維が含まれており、腸の働きを助けて整腸効果があります。約70%の脂肪はオレイン酸と呼ばれる一価不飽和脂肪酸で、心臓病や悪玉コレステロールの抑制にも効果的です。アーモンドの効用は紀元前から知られており、その価値は古代文献にも記されています。

宗教との関連

アーモンドは、ヘブライ語で「見張る」または「目覚める」という動詞の語源にも関わりがあり、「シェケディーム」と呼ばれています。聖書の中では、アロンの杖がアーモンドの木から作られ、その樹が花を咲かせることでイスラエルの祭司が選ばれるというエピソードが記載されています。ユダヤ教やイスラム教の教典にもこの話が伝えられているため、歴史的・宗教的意義も備えた植物です。

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