パワーレンジャー・ターボ

パワーレンジャー・ターボ

『パワーレンジャー・ターボ』（Power Rangers: Turbo）は、アメリカで制作された特撮テレビドラマシリーズであり、日本の「スーパー戦隊シリーズ」をベースとした『パワーレンジャー』シリーズの第5シーズンにあたります。この作品は、1996年に放送された『激走戦隊カーレンジャー』を元に制作されました。1997年4月19日から同年11月24日まで、アメリカのFox Kidsで放送され、日本では1999年9月から2000年2月にかけてスーパーチャンネルで放送されました。全45話で構成されています。

ストーリー

物語は、結婚式をパワーレンジャーに妨害された女宇宙海賊ディバトックスが、復讐と地球侵略を企てることから始まります。新たに仲間に加わったジャスティンと共に、パワーレンジャーはディバトックスの野望に立ち向かいます。これまでチームを支えてきたゾードンとアルファ5が故郷のエルター星へ帰還し、代わりにディミトリアとアルファ6が新たなサポート役として着任します。

物語中盤には、未来から来たロボット警官ブルーコマンダーが登場し、パワーレンジャーが過去に戦った悪の軍団が手を組んだことを警告しますが、そのメッセージはディミトリアに届かず、ディバトックスのみが知ることになります。その後、トミーたち4人のオリジナルメンバーは、新たなメンバーであるT.J.らにレンジャーの使命を託してチームを去ります。

新たなパワーレンジャーは、謎の戦士ファントムレンジャーからレスキューゾードを授かり、ディバトックスの怪物を打ち破っていきます。しかし、エルター星が悪の軍団に襲撃されたという知らせが届き、ゾードンを救うため、ディミトリアとブルーコマンダーは地球を去ります。直後、ディバトックスの大軍団がパワーレンジャーの基地を襲撃し、基地は破壊され、レンジャーたちは変身能力を失ってしまいます。

さらに、宇宙の支配者であるダーク・スペクターの使者が現れ、ディバトックスにゾードン捕獲を祝うパーティーへの参加を命じます。T.J.たちはゾードンを救うため、NASADAのスペースシャトルを借りて宇宙へと旅立ちます。ただ一人、ジャスティンは父親との生活を選ぶため、地球に残りました。

概要

本作は、『パワーレンジャー・ジオ』に続くシリーズ第3弾ですが、物語は映画『パワーレンジャー・ターボ・映画版・誕生!ターボパワー』から直接引き継がれています。

戦闘シーンは、原作のコミカルなアクションを重視し、現地で撮影されたものが多く使われています。また、原作で巨大化に使用されていた芋羊羹は、ドラッグを連想させるという理由から、魚雷に変更されました。

これまでのシリーズが「敵が現れたから戦う」という単純な展開だったのに対し、本作の後半からはシリーズ全体のストーリーが作られるようになり、物語に深みが増しました。また、制作スタッフが原作の内容をより深く理解するようになり、ストーリー面においても原作の影響が強くなりました。坂本浩一は、本作をパワーレンジャーの第1期最終作品と位置付けています。

シリーズ初期から登場していたゾードンやトミーなどのレギュラーキャラクターが本作で降板し、レギュラー陣が大幅に入れ替わりました。ロッキー役のスティーブ・カーデナスによると、レギュラー出演者の契約が本作で終了することは、最初から伝えられていたそうです。

また、本作からフィギュアのサイズ表記が5.5インチから5インチに変更され、アッパーデックとバンダイの提携によるトレーディングカードの展開も始まりました。

登場人物

パワーレンジャー・ターボ

前期は前作からのメンバーに加え、新ブルーレンジャーのジャスティンが加わり、後期ではブルー以外の4人が引退し、新たな4人のメンバーが加わります。

トーマス "トミー" オリバー / レッドレンジャー：チームのリーダー。高校を卒業後、テストドライバーを務めていましたが、T.J.にパワーを託して引退しました。
ジャスティン・スティワート / ブルーレンジャー：飛び級で高校に進学した天才少年。物語の最後に父親と暮らすため、地球に残ることを選びました。
アダム・パーク / グリーンレンジャー：チームのサブリーダー。高校卒業後はスタントマンとして働き、サッカー部のコーチも務めていました。カルロスにパワーを託して引退しました。
ターニャ・スローン / イエローレンジャー：高校卒業後、ラジオ局でディスクジョッキーとして活躍していました。アシュレーにパワーを託して引退しました。
キャサリン・ヒラード / ピンクレンジャー：高校卒業後は教育実習生をしていましたが、元々の夢であるバレエの勉強のため、ロンドンに留学しました。キャシーにパワーを託して引退しました。
セオドア・ジェイ・ジャービス・ジョンソン / 2代目レッドレンジャー：通称T.J.。野球選手を目指す青年で、トミーを救ったことがきっかけでレッドレンジャーに任命されました。
カルロス・ヴァラーツ / 2代目グリーンレンジャー：サッカー好きの青年。アダムからグリーンレンジャーの力を託されました。
アシュレー・ハモンド / 2代目イエローレンジャー：ファッションデザイナーを目指す少女。ターニャからイエローレンジャーの力を託されました。
キャシー・チャン / 2代目ピンクレンジャー：歌手を目指す少女。キャサリンからピンクレンジャーの力を託されました。

協力者

ブルーコマンダー：近未来から来た警官ロボット。悪の軍団の結託を伝えに来ましたが、データ破損のため、ディバトックスにしか伝わりませんでした。ゾードンを救うため、ディミトリアと共にエルター星へ向かいました。
ファントムレンジャー：エルター星から来た謎の戦士。透明になる能力を持ち、時間が止まっていても行動できます。レスキューゾードをレンジャーに与えました。
ディミトリア：ゾードンの後任としてレンジャーをサポートする女性。常に疑問形で話すのが特徴です。ゾードンを救うため、ブルーコマンダーと共にエルター星へ向かいました。
アルファ6：アルファ5の後任のロボット。自称「アルファシリーズ最高傑作」です。
ゾードン：ディミトリアに後を託し、故郷のエルター星へ帰還しました。その後、ダークスペクターに捕らえられてしまいます。
ロッキー・デサントス：前作に登場した元レンジャー。怪我から回復後、卒業式に出席し、ジャスティンを後継者としました。
ロボットレンジャー：レンジャーと入れ替わっていたロボットたち。エルター星でゾードンによって開発されたロボットでした。
ノル・クイスト：NASADAの司令官。レンジャーたちが宇宙へ旅立つためのスペースシャトルを提供しました。

一般人

バルクとスカル：おなじみの凸凹コンビ。エルガーの変身レーザーでチンパンジーにされてしまいましたが、後に元に戻りました。
ストーン：前作から登場する探偵。現在はジュースバーの店長をしています。バルクとスカルの騒動に巻き込まれていました。
ダグ・スティワート：ジャスティンの父親。後にエンジェルグローブに戻ってきました。
ウォーレン：ジャスティンと共にカーレースに出場した少年。後にジャスティンと和解しました。
レジー：ジャスティンのクラスメイト。ジャスティンから勉強を教わることになりました。
ジュニア：レジーの友人。
ジェニー・ハンター：ストーン警部の姪。初期設定では、パワーレンジャーのメンバーになる予定でした。

敵

ディバトックス：軍団を率いる女ボス。パワーレンジャーに結婚式を妨害されたことを恨み、地球侵略を企てます。強欲でわがままな性格をしています。
ライゴグ：ディバトックスの副船長。腕力に自信がありますが、不器用な性格です。
エルガー：ディバトックスの甥。間抜けな性格で、よくディバトックスに海に沈められます。
ポルト：科学者。組織を抜けましたが、後に戻ってきました。
ハボック将軍：ディバトックスの弟。ロボット戦闘員を操ります。
ママD：ディバトックスとハボック将軍の母親で、エルガーの祖母。ディバトックスを叱咤激励します。
戦闘員ピラナトロン：半魚人のような姿の戦闘員。
エリート戦闘員：ハボック将軍配下のロボット戦闘員。白衣を着た科学者タイプもいます。

メカ

ターボゾード（レンジャービークル）

レッドライトニング：レッドレンジャーのゾード。メガゾードの頭部を構成します。
マウンテンブラスター：ブルーレンジャーのゾード。メガゾードの胴体を構成します。
デザートサンダー：グリーンレンジャーのゾード。メガゾードの右足を構成します。
デューンスター：イエローレンジャーのゾード。メガゾードの左足を構成します。
ウインドチェイサー：ピンクレンジャーのゾード。メガゾードの腕を構成します。
ターボメガゾード：ターボゾードが合体したゾード。ターボメガゾードサーベルが武器です。

ロボレーサー

ブルーコマンダーのゾード。巨大なパトカーからロボットに変形します。

レスキューゾード

ファントムレンジャーから与えられたゾード。それぞれが人型に変形できます。
ライトニング・ファイヤーテイマー：レッドレンジャーのゾード。放水機能を持つ。メガゾードの頭部を構成します。
サイレン・ブラスター：ブルーレンジャーのゾード。メガゾードの胴体を構成します。
サンダー・ローダー：グリーンレンジャーのゾード。荷台から鉄球を転がして攻撃します。メガゾードの左足を構成します。
スター・レーサー：イエローレンジャーのゾード。メガゾードの右足を構成します。
ウィンド・レスキュー：ピンクレンジャーのゾード。注射器型のミサイルを発射します。メガゾードの腕を構成します。
レスキューメガゾード：レスキューゾードが合体したゾード。パワーバズーカとパワーバルカンが武器です。
レスキューターボメガゾード：レスキューメガゾードとターボメガゾードのパーツが合体したゾード。

その他メカ

アーティラリー：レスキューゾードと武器を保管する移動基地。
レッドカート、ブルーカート、グリーンカート、イエローカート、ピンクカート：各レンジャーが使用するカート。
コマンダーサイクル：ブルーコマンダーのバイク。
ライトニングクルーザー、ストームブラスター：意思を持つ車。最終回でディバトックスに捕らえられてしまいます。
サブクラフト：ディバトックスの宇宙船。モンスターを巨大化させる魚雷を発射します。
スペースベース：ディバトックスが作った宇宙要塞。
バトルカー：マニアック・メカニックが作った戦闘車両。
メタルザウルス：ハボック将軍が製作した巨大メカ。
テラーゾード、イーグルゾード、シャークゾード、キャットゾード：ディバトックスが操縦するゾード。

パワーレンジャーの装備

ターボ・モーファー：変身ブレス。変身時に使用します。
オートブラスター：ターボレンジャーが装備する銃。
ターボソード：ターボレンジャーが装備する剣。
ターボナビゲーター：探索機。
ターボ・R.A.M：共通武器型のフォーミュラー。
ライトニングソード、ハンドブラスター、サンダーキャノン、スターチャージ、ウィンドファイヤー：各レンジャーの個人武器。
フォーミュラー・モビライザー：武器が合体したバズーカ砲。
タービンレーザー：ディミトリアが与えた武器。
センチュリオン・シナイザー：ブルーコマンダーの武器。

キャスト

主要なキャストは以下の通りです。

トミー・オリバー / 初代レッドレンジャー：ジェイソン・デビッド・フランク
ジャスティン・スティワート / ブルーレンジャー：ブレーク・フォスター
アダム・パーク / 初代グリーンレンジャー：ジョニー・ヨング・ボッシュ
ターニャ・スローン / 初代イエローレンジャー：ナギア・ブリース
キャサリン・ヒラード / 初代ピンクレンジャー：キャサリン・サザーランド
セオドア・ジェイ・ジャービス・ジョンソン / 2代目レッドレンジャー：セルウィン・ウォード
カルロス・ヴァラーツ / 2代目グリーンレンジャー：ロジャー・ヴェラスコ
アシュレー・ハモンド / 2代目イエローレンジャー：トレーシー・リン・クルーズ
キャシー・チャン / 2代目ピンクレンジャー：パトリシア・ジャ・リー
ブルーコマンダーの声：デヴィッド・ウォルシュ
ファントムレンジャーの声：アレックス・ドッド
ディミトリア：キャロル・ホイト
アルファ6の声：カテリーナ・ルアチーニ
バルク：ポール・シュリアー
スカル：ジェイソン・ナーヴィー
ジェローム・ストーン：グレック・ブロック
ノル・クイスト：ジョン・マッギー
ディバトックス：キャロル・ホイト(1-25)→ヒラリー・シェパード・ターナー(26-)
ライゴグの声：アレクシス・ラング
エルガーの声：デヴィッド・ウマンスキー
ポルトの声：スコット・ページ＝パグター
ハボック将軍の声：トム・ワイナー→リチャード・カンシーノ

スタッフ

製作総指揮：ハイム・サバン、シュキ・レヴィ
プロデューサー：ジョナサン・ヅァクワー
アクション監督：坂本浩一

主題歌

「Power Rangers Turbo Go」

映像ソフト化

北米ではDVDが発売されており、日本では全11巻のVHSがリリースされました。

脚注

詳細は脚注を参照してください。

外部リンク

パワーレンジャー公式サイトによる紹介
* Internet Archiveによる映画版公式サイト

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