パンダの大冒険

パンダの大冒険

『パンダの大冒険』（英題: Panda's Adventures）は、1973年3月17日に公開された東映動画制作の劇場用アニメ映画である。この作品は、当時の日本におけるパンダブームに便乗したもので、長さは約50分、フジカラーで、ワイド形式で制作された。本作のキャッチコピーは「攻めてくるぞ ひぐまの大軍 ボクはパンダ くまの国の強い戦士だ!!」だ。

概要

1972年10月28日、日中友好の一環として上野動物園に2頭のジャイアントパンダ、「ランラン」と「カンカン」が到着すると、彼らは瞬く間に日本中の人気者となった。この影響で上野動物園は連日行列ができ、関連商品が飛ぶように売れ、アニメ界でもこの流行に乗って作品が制作された。特に東京ムービーとAプロダクションが本作と関連作品『パンダコパンダ』を作り上げ、競い合う形となった。

しかし、東映動画は早期に作品を制作したいと考えたにもかかわらず、社長によるスタジオロックアウトの影響で、外注での製作を余儀なくされた。そのため、本作は外注から始まり、1973年3月に初号試写を迎えた。公開日には他のパンダアニメと共演することになった。物語は、クマの国に王子として生まれたパンダのロンロンが、ヒグマのデモンと戦う姿を描いている。

ストーリー

物語は平和なクマの国から始まります。ここに、ロンロンという名の王子が誕生しますが、実はロンロンはパンダであり、コウノトリのミスでこの国へ届けられた特異な存在です。王位を狙うヒグマのデモンは、このことに異を唱えますが、母親である女王によって一時的に黙らされます。ロンロンは成長するも、臆病で失敗を繰り返し、女王は彼に修行を命じます。

ロンロンとその親友であるレッサーパンダのピンチは、修行の旅に出ますが、途中で人間の仕掛けた罠にはまってしまいます。その後、サーカス団に売られることになるロンロンですが、サーカス団の花形であるメスパンダ、フィフィと出会い、彼女から「弱虫」とののしられます。このことがきっかけで、ロンロンは一念発起し、サーカス団での修行を通じて成長していきます。

その後、ロンロンはサーカスの仲間たちとともに冒険を進めますが、デモンはロンロンを抹殺しようと企むこととなり、彼らは再び対峙する運命にあります。ラストでは、ロンロンは仲間たちとともにデモンに立ち向かい、見事勝利を収めることができました。こうして弱虫だったロンロンは立派な王子に成長し、仲間たちと新たな冒険へ旅立ちます。

登場キャラクター

本作には多彩なキャラクターが登場します。主人公ロンロンをはじめ、母親の女王やクマの国の長老、そしてヒグマのデモンとその腹心ポン太が物語の重要な役割を果たします。また、サーカス団の仲間たちであるフィフィ、ジャンボ、フーテンの虎などもロンロンの成長に大きく関与します。

音楽と映像

本作の音楽は小杉太一郎が担当し、主題歌「パンダの行進曲」が特徴的です。オープニングはコメディタッチで、ロンロンが製作タイトルを壊そうと奮闘するシーンから始まります。この楽しくダイナミックな演出が観客を引き込む要素となっています。

作品の評価

『パンダの大冒険』は1973年5月にシンガポールで開催された「第19回アジア映画祭」で技術特別賞を受賞するなど、日本国内外で評価されました。日本のアニメ映画史においても、その独創性とキャラクターたちの魅力で印象を残しました。現代においても、そのユニークなストーリーとキャラクターは、昔を思い起こさせるものとして親しまれています。

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