パンチコ

パンチコ (Panchiko)

パンチコは、1997年にイギリスのノッティンガムで結成されたオルタナティヴ・ロック・バンドです。メンバーは当時16〜17歳だった友人たちで構成され、リードボーカル兼ギタリストのオウェイン・デイヴィス、ギタリスト兼キーボーディストのアンディ・ライト、ベーシストのショーン・フェレデイ、ドラマーのジョンの4人から成ります。彼らは自主制作の音源を制作し、音楽活動を続けていました。

初期の活動と解散

バンドの初期活動は、地元のパブでのカバー演奏やコンテストへの参加に始まりましたが、観客がわずか数人という厳しい状況も多く、あまり評価を得ることはありませんでした。それでも、彼らは徐々に音楽制作に挑戦し、1999年から2000年にかけてデビューEP『D>E>A>T>H>M>E>T>A>L』を制作しました。この作品のジャケットには吉住渉のコラージュが用いられており、趣向が感じられます。2001年、このEPは完成したものの、広く知られることはありませんでした。そして同年、バンドは解散することになりました。

メンバーはその後、異なる道を選びます。オウェインはゲーム業界を経て教師に、アンディはオーディオ・エンジニアとして活動を続け、ショーンは樹医となり、ジョンは軍に入隊しました。

再発見とカルト的な人気

2016年、パンチコのEP『D>E>A>T>H>M>E>T>A>L』が偶然にオックスファムのリサイクルショップで発見されます。この音源は、匿名掲示板4chanの音楽板で共有され、当時の音質には経年劣化の影響がもたらされ、逆にそのミステリアスな側面が新たなファンを惹きつけることになりました。バンドについての詳細情報がほとんどなかったため、インターネット上でカルト的な人気を博し、様々な憶測や議論が巻き起こりました。

その後、ファンによって音源が再アップロードされ、YouTubeアカウント「Dismiss Yourself」がこの音源を拡散。バンドの人気はここから一気に増しました。様々なフォーラムでは、パンチコが本物なのか、それとも偽物なのかという議論も交わされ、インターネットのミュージックシーンにおける重要な話題となりました。

再結成と新たな活動

2020年、4chanの掲示板の投稿を契機にファンたちが行動を起こしました。ノッティンガムにあるリサイクルショップからバンドのメンバーであるオウェイン・デイヴィスを特定し、コンタクトを取ることに成功。オウェインは、この人気の高まりに驚き、元メンバーたちと再連絡を取り、新しい音源のリマスターや復元作業に取り掛かりました。

2020年2月にはリマスター版の『D>E>A>T>H>M>E>T>A>L』が再リリースされ、その後も新曲を含むコンピレーション・アルバムや未発表デモ集が発表されました。同年8月には、新たにメンバーを加え、故郷のノッティンガムで20年ぶりのライブを行い、多くのファンの前でパフォーマンスしました。

2021年、パンチコはアメリカでの初のツアーに乗り出し、2023年には正式なスタジオアルバム『Failed at Math(s)』をリリースしました。これにより、彼らの活動は再び注目を集め、Spotifyでは月間リスナー数が100万人を超える人気を誇るまでに成長しました。彼らの音楽は、ドリーム・ポップやノイズポップなど、さまざまなジャンルの影響を受けた独自のスタイルを持ち続けており、その進化がファンを魅了しているのです。

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