パームビーチ・ストーリー

パームビーチ・ストーリー：軽妙洒脱なハリウッド・コメディ

『パームビーチ・ストーリー』（原題: The Palm Beach Story）は、1942年に公開されたアメリカ合衆国の映画です。プレストン・スタージェスが監督と脚本を務め、洗練された演出と軽妙洒脱なユーモアで知られる彼の代表作の一つと言えるでしょう。主演は、ハリウッド黄金期を代表するスター、クローデット・コルベールとジョエル・マクリー。豪華なキャストとスタイリッシュな映像で彩られた、忘れがたいコメディ作品となっています。

物語の舞台は、フロリダ州の高級保養地として名高いパームビーチ。裕福なジェリー・ジェファーズと夫トムは、経済的な問題を抱えながらも、パームビーチでの優雅な生活を送っています。しかし、ある出来事をきっかけに、ジェリーは夫を置いて単身パームビーチへと向かい、そこで出会う様々な人々との交流を通して、人生の新たな一面を発見していくことになります。

ジェリー役を演じるのは、気品と魅力を兼ね備えたクローデット・コルベール。彼女の演技は、ジェリーの独立心とユーモラスな性格を見事に表現しています。一方、夫トム役のジョエル・マクリーは、ジェリーとの関係に悩みながらも、彼女への愛情を隠せない複雑な心情を繊細に演じきっています。

さらに、個性豊かな脇役たちが物語に彩りを添えます。メアリー・アスター演じるセンティミリア公爵夫人、ルディ・ヴァリー演じるJ・D・ハッケンサッカー3世など、それぞれのキャラクターが絶妙なバランスで物語を盛り上げています。

スタージェスの脚本は、軽妙なセリフ回しと巧みな構成で、観客を飽きさせません。予測不能な展開と笑いに満ちたストーリーは、ハリウッド黄金期の映画らしい華やかさと洗練された雰囲気を醸し出しています。

日本での初公開は1948年で、当時『結婚五年目』というタイトルで上映されました。この邦題からも、作品が夫婦間の関係をユーモラスに描いたコメディであることが伺えます。

『パームビーチ・ストーリー』は、単なる娯楽作品としてだけでなく、当時のアメリカ社会の風俗や人間模様を反映した作品としても評価されています。時代を超えて愛されるこの名作は、軽快な笑いと深みのある人間ドラマを同時に堪能できる、まさに傑作と言えるでしょう。

スタッフ

監督・脚本：プレストン・スタージェス
製作：バディ・G・デシルヴァ、ポール・ジョーンズ
音楽：ヴィクター・ヤング
撮影：ヴィクター・ミルナー
編集：スチュアート・ギルモア
美術：ハンス・ドライアー、エルンスト・フェグテ
クローデット・コルベールの衣裳：アイリーン

キャスト

ジェリー・ジェファーズ：クローデット・コルベール
トム・ジェファーズ：ジョエル・マクリー
センティミリア公爵夫人：メアリー・アスター
* J・D・ハッケンサッカー3世：ルディ・ヴァリー

この作品は、現在でも多くの映画ファンに愛され続けており、ハリウッド黄金期の映画史において重要な作品の一つとして位置づけられています。

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