ヒカルド (キン肉マンII世)

ヒカルドは、ゆでたまごの漫画『キン肉マンII世』に登場する、二つの人格を持つ複雑な背景を持った超人です。アニメ版では、声優の森川智之がその声を担当しました。

主な特徴

ヒカルドは、復活超人オリンピックザ・レザレクション編で初登場しました。彼は、超人未開の地であるブラジル出身の超人でありながら、悪行超人集団d.M.p（デーモン・メイキング・プラント）の一員として生まれました。しかし、彼の両親の判断により、彼はブラジルの正義超人パシャンゴに預けられ、正義超人として育てられるという複雑な経歴を持ちます。

普段のヒカルドは、関節技を得意とする「関節技（サブミッション）アーティスト」として知られています。しかし、彼の体を覆うオーバーボディが破れると、真の姿である「暗黒の主（ロード・オブ・ダークネス）」へと変貌します。暗黒の主となったヒカルドは、血を見ると止まらない凶暴性を発揮し、相手を血祭りに上げようとします。この多重人格にヒカルド自身も苦悩しています。

彼のファイトスタイルは、関節技と寝技を主体とし、「関節技アーティスト」の形態でも相手を挑発し、いたぶるような戦い方をします。また、鍛え抜かれた首は「鋼鉄の首（アイアン・ネック）」と呼ばれており、落下技の衝撃をものともしません。

ヒカルドには二種類の笑い声があり、「関節技アーティスト」の時は「クケケケ〜」と笑い、「暗黒の主」の時は「フィギュ〜、フィギュ〜」と笑います。

作者であるゆでたまごは、超人オリンピックに悪行超人が混ざる展開を面白いと考え、ヒカルドを創り出しました。当初は、彼が決勝戦まで進出する可能性もあったそうです。

経歴

生い立ち

d.M.pのアジトで悪行超人として生まれたヒカルドは、正義超人の技術も必要と考えた両親によって、オーバーボディを着せられ、寝技と関節技のスペシャリストであるパシャンゴのもとに預けられました。幼いヒカルドは、アジトに戻りたい一心で寝技と関節技の修行に励みましたが、その内に、関節技の面白さに目覚め、本来の目的を忘れてしまいました。15年後、d.M.pのアジトが壊滅したことを知ったヒカルドは、自分が悪行超人であることを思い出し、両親の死を悟りました。しかし、正義超人として育ったため、涙を流すことができませんでした。

また、同時期に、スパーリング中にヒカルドの本性を悪行超人と見抜いたパシャンゴは、ヒカルドを討伐しようとしました。しかし、血を見たヒカルドはパシャンゴを殺害してしまい、我に返ったヒカルドは医者を呼ぶように叫んだとされています。

超人オリンピック出場

アジト崩壊から一年後、日本で開催された超人オリンピックザ・レザレクションに、ヒカルドはブラジル代表として出場しました。予選を突破し、1回戦Bブロック第1試合ではアメリカ代表のザ・摩天楼と対戦。試合中、彼はキン肉万太郎が会場に不満を漏らすのに対し、「瑣末なこと」と一蹴しています。試合は一時は摩天楼が優勢でしたが、ヒカルドは相手の戦術を見抜き逆転勝利しました。この時、オーバーボディの仮面が剥がれ、正体を暗示しました。

2回戦では、ジェイドと対戦しました。オーバーボディを剥がされたヒカルドは、自身の出自が悪行超人であることを明かします。ジェイドに両親への愛情のなさを指摘されながらも、自分はあくまで正義超人であると主張しました。さらに、声援やブロッケンJr.のセコンドを受けて立ち上がるジェイドを挑発し、困惑させました。止めのトーチャースラッシュのモーション中にジェイドは意識を失い、ジェイド陣営はタオルを投入。一度は空中で技を停止したヒカルドでしたが、落下を再開し、ジェイドに重傷を負わせました。タオル投入が技の発動中であったことと、ヒカルド自身の「停められなかった」という証言が大会運営委員長に採用され、判定でヒカルドの勝利となりました。

準決勝では、パニッシュメントXが設置された特設リングでキン肉万太郎と対戦しました。ヒカルドは、ジェイドに重傷を負わせたことを負い目に感じ、オーバーボディを着用して入場しました。彼は、パニッシュメントXから万太郎を避けるなど、フェアなファイトを試みました。しかし、ヒカルドの同門の弟子たちの証言により、パシャンゴを殺害したことが明るみになります。最後は、火事場のクソ力を発揮させた万太郎のマッスル・ミレニアムを受けて敗北しました。薄れ行く意識の中で、両親の幻影から悪の道に目覚め、その後は行方不明となります。

第2回キャラクター人気投票では第7位、第3回キャラクター人気投票では第14位、第4回キャラクター人気投票では第13位にランクインするなど、人気の高いキャラクターです。

主要対戦成績

○ドラグ・スレイプ
○ザ・摩天楼（トーチャースラッシュ）
○ジェイド（トーチャースラッシュ）
×キン肉万太郎（マッスル・ミレニアム）

得意技

トーチャースラッシュ：空中でダブルアーム・スープレックスを途中で止め、両足を固めてマットに落下し、相手の股と背中を破壊する技。着地の際、首を伸ばしたまま落下することで威力を殺さないようにしています。
ズッファーラ：両足で相手の両手を踏みつけ、足をインディアン・デスロックで極める技。
アラーニャクラッチ：相手の上半身に飛び乗り、アームロックと三角絞めを極める拷問技。相手の上体を大きく逸らせるため、自身の頭が地面に着きそうになるほどの体勢になります。
ピラニアンジョー：鋭い歯で噛みつく技。
ピラニアンブレス：左腕のブレスレット。取り外し可能で、相手に絡めたり、リングマットに突き刺して自分のパワーを伝えたりと、様々な応用が可能な小道具。
コルバートの丘：頭についた鎖でマットを針のように伸ばし、相手を突き刺す技。
イグアスロック：相手の右側に位置して両足で相手の足を固め、手で思い切り折る技。

プロフィール

分類：悪行超人 / 正義超人
出身地：ブラジル
身長体重：213cm 148kg
超人強度：118万パワー
年齢：15歳〜
家族：両親（故人）
異名：関節技（サブミッション）アーティスト、暗黒の主（ロード・オブ・ダークネス）、多重人格（マルチプル）超人、関節技地獄

コンピュータゲーム

『キン肉マンジェネレーションズ』シリーズでは、「関節技アーティスト」と「暗黒の主」の2タイプに分かれて登場します。特定のキャラクターとタッグを組むことで、以下のチーム名が付けられます。

はぐれd.M.pコンビ - ケビンマスク、チェック・メイト、スカーフェイス

脚注

注釈

出典

参考文献

TEAM MUSCLE 編『キン肉マン超人大全集』集英社、2004年7月31日。ISBN 978-4-7976-1003-1。