ヒステリア (2011年の映画)

ヒステリア：笑いとロマンス、そして時代の波紋

19世紀末のヴィクトリア朝イギリス。時代に取り残された医療現場で奮闘する青年医師モーティマーは、ある日、女性医療の第一人者であるダリンプル医師のクリニックで働くことになる。ダリンプル医師は、独自の「マッサージ治療」で多くの女性を癒していたが、その評判はモーティマーのイケメンぶりにも後押しされていた。

クリニックでは、モーティマーはダリンプル医師の娘、エミリーと恋に落ちる。一方、女性の自立と解放を目指す活動家である姉のシャーロットとは衝突を繰り返しながらも、次第に惹かれ合っていく。しかし、モーティマーは腱鞘炎により職を失ってしまう。

失意のモーティマーだったが、発明家の親友エドモントの協力を得て、電動マッサージ器を発明。この画期的な発明は、クリニックの評判を高め、モーティマーの職場復帰へと繋がる。

エミリーとの婚約を祝うパーティーでは、予想外の出来事が起こる。シャーロットが、運営する貧民シェルターの土地をめぐる騒動で逮捕されてしまうのだ。裁判で、シャーロットは女性の権利を力強く主張し、モーティマーは彼女を擁護する。この出来事が、人々の古い価値観を揺るがし、モーティマーとシャーロットの真実の愛を育むことになる。

魅力的なキャラクターたち

本作を彩るキャラクターたちは、それぞれに個性豊かだ。

モーティマー：進歩的な考えを持つ青年医師。几帳面で真面目だが、不器用で可愛らしい一面も持ち合わせている。
シャーロット：自立した女性であり、時代の先をゆく活動家。強い意志と正義感を持つ一方で、繊細な一面も秘めている。
エミリー：優しく聡明な女性。モーティマーとの恋に悩みながらも、自身の幸せを追い求める。
ロバート・ダリンプル：女性医療の権威でありながら、娘たちの成長を見守る慈愛深い父。
* エドモント：モーティマーの親友であり、発明家。持ち前の明るさと発明力で、モーティマーを支える。

時代背景と社会風刺

映画は、電動バイブレーターがヒステリー治療に使われていたという史実に基づいている。しかし、映画は単なる歴史劇にとどまらず、当時の女性の置かれた状況や、社会の矛盾を巧みに描いている。女性差別や偏見、貧富の格差など、現代社会にも通じる問題が、ユーモラスなタッチで描かれており、考えさせられる。

笑いと感動のバランス

『ヒステリア』は、笑いと感動のバランスが絶妙な作品だ。軽妙な会話劇やコミカルな場面は、観客を笑わせ、一方で、登場人物たちの葛藤や成長は、深い感動を呼び起こす。時代劇でありながら、現代的な感性にも響く、普遍的なテーマが描かれている。

評価

Rotten Tomatoesでは、批評家の評価は賛否両論に分かれているものの、多くの観客から高い評価を得ている。コメディと社会風刺のバランス、魅力的なキャラクター、そして時代を超えたテーマが、この映画の魅力となっている。

まとめ

『ヒステリア』は、笑いと感動、そして歴史的な事実を織り交ぜた、見応えのある作品。時代劇、ラブコメディ、社会派ドラマといった様々な要素が融合し、忘れられない映画体験を与えてくれるだろう。 19世紀末のイギリス社会を舞台にした、軽妙洒脱な語り口と、時代を超越した普遍的なテーマが魅力の作品だ。

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