ヒックスヴィル駅

ニューヨーク州ヒックスヴィルにあるヒックスヴィル駅は、ロングアイランド鉄道（LIRR）の本線上に位置する重要な駅です。特に、平日および週末の合計乗客数において、ジャマイカ駅より東側にあるLIRRの駅の中で最も利用客が多い駅として知られています。

運行形態とアクセス

ヒックスヴィル駅は、LIRRネットワークにおける主要な結節点の一つです。2011年5月時点の情報では、平日に133本の列車が停車していました。様々な支線の列車が乗り入れており、ポートジェファーソン支線の列車の大半が停車するほか、ロンコンコマ支線の列車は全て当駅を経由し、一部は停車しないものもあります。さらに、モントーク支線からも毎日3本の列車が当駅に停車します。当駅からマンハッタンのペンシルベニア駅までの所要時間は、急行列車か各駅停車かによって異なりますが、通常40分から50分程度です。都市中心部へのアクセスの良さが、当駅の高い利用客数に貢献しています。

駅の構造と設備

駅はニューブリッジ・ロード（106号線）とウェスト・バークレー・ストリートの交差点に位置しています。構造としては、2面の島式ホーム（AおよびB）と3本の線路（1番線、2番線、3番線）を備えています。中央の2番線は、両側のプラットホームAとBに挟まれており、どちらのホームからも乗り降りすることが可能です。通常、プラットホームAは主にペンシルベニア駅やアトランティック・ターミナルなどへ向かう西行き列車が使用し、プラットホームBはロンコンコマ方面など東行き列車のために使われます。プラットホームAの北側にある1番線は、主にヒックスヴィル駅を始発または終着とする列車が使用し、時折貨物列車も通過します。2番線に停車する西行き列車は、利便性を考慮して両側のドアを開放して乗降を扱います。3番線は、平日朝の一部西行き列車を除き、通常は東行き列車が使用しています。

バリアフリー設備も充実しており、車椅子での利用が可能です。地上階から各プラットホームへアクセスできるエレベーターが設置されており、移動の困難な利用者も安心して利用できます。駅の地上部には、ナッソー・インターカウンティ・エクスプレスによる11路線ものバスが乗り入れており、さらに2つのタクシーサービスも利用可能です。地域の公共交通網における重要な拠点として機能しています。

路線の分岐点

ヒックスヴィル駅の東側には、ブロードウェイ（ニューヨーク州道107号線）の橋の東詰めに位置する「ディバイド信号場（DIVIDE Interlocking）」と呼ばれる重要な地点があります。ここでLIRRの路線は分岐します。ポートジェファーソン支線は本線から分かれ、北東方向へと進路を変えます。一方、本線はロンコンコマやグリーンポート方面へ向かうため、南東方向へと進みます。また、本線上には、モントーク支線方面へ向かう列車だけでなく、セントラル支線を経由してバビロン駅方面へ通勤する乗客を乗せた列車も走行します。この信号場は、LIRRの運行において列車の進路を振り分ける上で極めて重要な役割を果たしています。

歴史的変遷

ヒックスヴィル駅の歴史は非常に古く、初代の駅は1837年3月1日に、当時はLIRRの暫定的な終着駅として開業しました。駅および村落の設立には、LIRRの一時期の社長も務めたバレンタイン・ヒックスが関わっています。当初計画されていた路線の延伸は、1837年の恐慌から始まった不況の影響で遅れましたが、1841年にはファーミングデールまで延伸が実現しました。1854年には、後にLIRRのポートジェファーソン支線の一部となる「ヒックスヴィル・アンド・シオセット鉄道」の路線が当駅に接続しました。初代駅舎は1864年7月15日に焼失し、2代目の駅舎は1873年9月に開業しましたが、1909年に別の場所へ移転しました。3代目の駅舎は1909年10月30日に開業しましたが、現在の高架構造物を建設するために1962年11月に取り壊されました。現在の高架駅舎は1964年9月12日に供用を開始し、その後1970年10月に電化が完了しました。

近年、駅設備の近代化と利便性向上のための大規模な改修工事も実施されました。2014年初頭から始まったこの改修プロジェクトでは、プラットホーム、エスカレーター、待合室、照明などが刷新され、工事は2017年まで続けられたと推定されています。これらの歴史的な積み重ねと継続的な改善を経て、ヒックスヴィル駅はLIRRの主要駅として多くの人々に利用されています。

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