ヒッピー・ヒッピー・シェイク

「ヒッピー・ヒッピー・シェイク」は、1959年にアメリカのシンガーソングライター、チャン・ロメオが発表したロックンロール・ナンバーです。同年の9月にシングル盤としてリリースされましたが、当時の主要なシングルチャートにランクインすることはありませんでした。

スウィンギング・ブルー・ジーンズによる成功

この楽曲が広く知られるようになったのは、イギリスのビート・グループ、スウィンギング・ブルー・ジーンズが1963年にカバーしたことによります。彼らは原曲よりもややテンポを速めた躍動的なアレンジでこの曲をシングルとして発売。B面にはレイ・エニス作の「ナウ・アイ・マスト・ゴー」が収録されました。

イギリスでは1963年12月6日に発売され、翌1964年1月23日付の全英シングルチャートで最高位2位を記録する大ヒットとなります。アメリカでも1964年2月の発売後、Billboard Hot 100で最高位24位に到達。このカバー・バージョンは、スウィンギング・ブルー・ジーンズにとって、初めて英米両国のシングルチャート入りを果たした記念碑的な作品となり、バンド最大のヒット曲となりました。

楽曲は1964年にアメリカで発売された同名のオリジナル・アルバムに収録されましたが、イギリス本国で発売されたオリジナル・アルバムには未収録でした。そのため、イギリスでは1978年の『スウィンギング・ブルージーンズ ベスト』をはじめとする後年のコンピレーション・アルバムでのみこのバージョンを聴くことができます。また、スウィンギング・ブルー・ジーンズ版は、『エンジェルズ』（1994年）や『ヤギと男と男と壁と』（2009年）といった映画作品のサウンドトラックとしても使用されています。

ビートルズのライブ定番曲

イギリスを代表する伝説的なバンド、ビートルズも、活動初期の1960年代前半から「ヒッピー・ヒッピー・シェイク」をライブの重要なレパートリーとしていました。彼らは、主にBBCラジオ番組のためにこの曲を複数回スタジオ録音しており、そのリード・ボーカルはポール・マッカートニーが担当しました。

ビートルズは1963年3月16日にロンドンで最初のBBC向けライブ録音を行います。その後も同年5月、7月、9月と、立て続けに『Pop Go The Beatles』などの番組のために演奏を収録しました。これらの録音の一部は、後の公式リリースに収められています。特に1963年7月10日録音分は、1994年に発売された『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』に収録。また、同年9月3日録音分は、2013年発売の『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』に収められています。さらに1964年1月7日にも『Saturday Club』のために録音するなど、彼らにとって初期のライブ活動を彩る重要な一曲であったことがうかがえます。

その他のカバーとメディアでの使用

スウィンギング・ブルー・ジーンズやビートルズ以外にも、この楽曲は様々なアーティストによってカバーされています。1974年にはイギリスのグラムロックバンド、マッドがアルバム『Mud Rock』でカバー。1988年にはアメリカのロックバンド、ジョージア・サテライツがシングルとしてリリースし、Billboard Hot 100で45位、Mainstream Rock Songsで13位を記録しました。ジョージア・サテライツ版は、トム・クルーズ主演の映画『カクテル』（1988年）のサウンドトラックにも使用されています。

また、人気テレビドラマ『フルハウス』に登場するバンド、ジェシー&ザ・リッパーズが番組内でこの曲を演奏したほか、後年のトーク番組でも披露されるなど、ポピュラーカルチャーの中で世代を超えて親しまれる機会を得ました。楽曲全体としては、2011年に公開された映画『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』でもサウンドトラックとして採用されるなど、様々なメディアでその存在感を示し続けています。

主要バージョンの参加ミュージシャン:

チャン・ロメオ版:
チャン・ロメオ - ボーカル、ギター
バーニー・ケッセル - リズムギター
アーヴィング・アシュビー - アップライトベース
レナ・ホール - エレクトリックベース
アール・パーマー - ドラムス

スウィンギング・ブルー・ジーンズ版:
レイ・エニス - ボーカル、リードギター
ラルフ・エリス - ギター
レス・ブレイド - ベース
ノーマン・クールク - ドラム

ビートルズ版 (BBC録音など):
ポール・マッカートニー - ボーカル、ベース
ジョン・レノン - リズムギター
ジョージ・ハリスン - リードギター
リンゴ・スター - ドラム

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