ヒドロキシルラジカル

ヒドロキシルラジカル（・OH）とは

ヒドロキシルラジカル（・OH）は、ヒドロキシ基（水酸基）に対応するラジカルであり、化学式では「・OH」と表記されます。活性酸素の一種として知られ、非常に高い反応性と酸化力を持つことが特徴です。

概要

ヒドロキシルラジカルは、数ある活性酸素の中でも特に反応性が高く、酸化力が最強です。糖質、タンパク質、脂質など、生体内のあらゆる物質と瞬時に反応します。しかし、その高い反応性ゆえに、通常の環境下ではごく短時間しか存在できません。生成されるとすぐに他の物質と反応し、消滅します。

生成方法

ヒドロキシルラジカルは、主に以下の方法で生成されます。

紫外線照射: 過酸化水素に紫外線を照射することで生成されます。
フェントン反応: 酸性条件下で過酸化水素と2価の鉄化合物を反応させることで、触媒的に生成されます。この反応は、生体内でもミトコンドリア内などで起こり、細胞障害の原因となることがあります。

生体への影響

生体内では、主にフェントン反応によってヒドロキシルラジカルが生成されます。特にミトコンドリア内部や細胞内で生成されると、ミトコンドリア機能障害や細胞障害を引き起こす可能性があります。これらの障害は、癌、パーキンソン病、認知症などの難病の原因物質として知られています。

製品への応用

ヒドロキシルラジカルは、その高い反応性を利用して、空気清浄機に応用されています。シャープの「プラズマクラスター」、パナソニックの「ナノイー」、ダイキン工業の「ストリーマ」などの製品では、ヒドロキシルラジカルを生成し、空気中の除菌や有害物質の除去に役立てています。これらの製品では、ヒドロキシルラジカルが空気中の細菌やウイルス、アレルゲンなどに付着し、その表面を酸化分解することで、無害化するとされています。

しかし、これらの製品の効果については、一部で疑問の声も上がっています。例えば、日経クロステックは2012年に、「ヒドロキシルラジカルの効果は限定的で、実際には同時に発生するオゾンによる効果が大きい」という主張を掲載しました。また、東京都が2015年に実施した商品テストでは、「性能について消費者に過度な期待を持たせるような広告表示があったり、オゾン発生濃度が過剰で安全性に問題のある商品がある」と指摘しました。さらに、「機種によってはオゾンが過剰に発生し、喉などの粘膜に刺激を与えるものがある」という注意喚起も行われています。

ヒドロキシルラジカル捕捉剤

ヒドロキシルラジカルの有害な影響を軽減するため、生体内には様々な抗酸化物質が存在します。これらの物質は、ヒドロキシルラジカルと反応し、無害化する役割を担っています。

主なヒドロキシルラジカル捕捉剤は以下の通りです。

水素
β-カロテン、α-カロテン
ビタミンE
尿酸
リノール酸
システイン
フラボノイド
グルタチオン

まとめ

ヒドロキシルラジカルは、非常に高い反応性を持つ活性酸素の一種です。生体内では細胞障害を引き起こす可能性がありますが、その高い反応性を利用して、空気清浄機などにも応用されています。製品の効果については、過度な期待は禁物であり、安全性についても注意が必要です。

関連項目

ヒドロキシ基
ラジカル (化学) / 活性酸素
* プラズマクラスター

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