ヒメアカクロサギ

ヒメアカクロサギ

分類と名称

ペリカン目サギ科に分類される鳥類の一種です。学名は Egretta caerulea とされています。「姫赤黒鷺」と表記されることもあります。小型のサギとして知られています。なお、この種が「スミレサギ」と呼ばれることがありますが、これは誤りです。

分布

主にアメリカ合衆国の東部地域から、メキシコを含む中央アメリカ、そして南アメリカの北部地域（ペルーからウルグアイにかけての範囲）に広く分布しています。分布域の北方で繁殖を終えた個体は、寒冷な冬季を避けるために南方へ移動し、越冬を行います。

形態

成鳥の体長は概ね64センチメートルから74センチメートル程度で、比較的小型のサギです。最も特徴的なのは体色で、頭部から首筋にかけては暗い赤褐色をしています。この部分の色合いが、和名「ヒメアカクロサギ」の由来となっています。一方、それ以外の体の大部分は、黒みを帯びた濃い青紫色を呈しています。顔の裸出部（眼先）と嘴は灰色で、脚はやや青みがかった灰色をしています。

生態

生息環境としては、沼地、湿地、干潟、あるいは湖沼のほとりといった水辺を好みます。単独で行動することもあれば、他のサギ類と混群を作ることもあります。

食性

主な餌は水辺に生息する小動物です。魚類や甲殻類（エビやカニなど）を多く捕食しますが、そのほかに水生昆虫や両生類（カエルなど）なども採食します。水辺をゆっくりと歩きながら獲物を探し、素早く嘴を突き出して捕らえます。

繁殖

繁殖期には、水辺近くに生えた樹木の上や茂みの中に営巣します。巣は木の枝などを組み合わせて作られます。巣材を集めるのは主に雄の役割で、集められた材料を使って雌が巣を完成させます。一度の繁殖で産む卵の数は通常2個から5個程度です。抱卵期間は21日から24日ほどで、卵が孵化するまでの間、雌雄が交代で卵を温めます。雛が孵った後も、雌雄共同で餌を与え、育てます。雛は孵化後およそ35日から40日程度で巣立ちを迎え、やがて自立していきます。

本種に関する情報は、財団法人東京動物園協会発行の『世界の動物｜分類と飼育　コウノトリ目+フラミンゴ目』（1985年）など、鳥類図鑑や専門書に記載されています。

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