ヒメヨシゴイ

ヒメヨシゴイ（姫葦五位）は、鳥類の一種で、ペリカン目のグループに属するサギ科の鳥です。学名は Ixobrychus minutus と名付けられています。体は比較的小型で、湿地の環境に適応した生活を送っています。

分布

本種の生息域は非常に広大です。中部から南部ヨーロッパにかけて、中近東、中央アジアといったユーラシア大陸の一部に分布するほか、アフリカ大陸全域、マダガスカル島、そしてオーストラリアやニュージーランドといったオセアニア地域にも見られます。主に湿地や沼地の環境を選んで生息しています。

形態

体長は概ね28センチメートルから36センチメートルの範囲で、サギ科の仲間としては小型です。性別によって羽色に違いが見られます。

雄：頭の上部、背中、肩の羽、尾が光沢のある緑を帯びた黒色をしています。顔から首にかけては赤褐色で、喉の部分は褐色がかった白色です。胸からお腹にかけては淡い黄褐色が基調で、その上に褐色の縦の斑が入っています。肩の羽には目立つ白い筋模様があります。
雌：頭の上部は黒色ですが、背中は赤褐色で、黄褐色の斑点が散りばめられています。

嘴と脚はいずれも緑色がかった黄色をしており、雌雄に共通した特徴です。

生態

ヒメヨシゴイは、湿地や沼地の周辺にあるアシ原や茂みの中に潜んで生活しています。これらの環境を利用して身を隠し、獲物を待ち伏せます。

食性は動物食で、主に水中の生き物を捕らえます。魚類やカエルなどの両生類を餌とすることが多いですが、水生昆虫もかなりの量を捕食します。

繁殖期には、水辺のアシ原や草薮の中に巣を作ります。通常はつがいで営巣しますが、まれに小さな集団、いわゆるコロニーを形成することもあります。巣作りは主に雄が行います。

一度の繁殖で、メスは4個から7個の卵を産みます。卵はおよそ17日から19日間温められて孵化します。抱卵も、雛が孵った後の世話（育雛）も、オスとメスの両親が協力して行います。雛は孵化してから7日から8日ほどで巣の外に出て、巣の近くで過ごすようになります。そして、生後25日から30日程度で親鳥から独立し、自分で餌を探して生活するようになります。

亜種

現在、ヒメヨシゴイは分布や形態の特徴に基づいて、以下の4つの亜種に分類されています。

Ixobrychus minutus minutus：この種を代表する基亜種です。主にヨーロッパ、アジアの一部、そしてアフリカ北部に分布しています。
Ixobrychus minutus payesii：アフリカの中部から南部にかけて生息する亜種です。
Ixobrychus minutus podiceps：アフリカ大陸東岸沖にあるマダガスカル島に分布しています。
Ixobrychus minutus novaezelandiae：オーストラリアとニュージーランドに分布する亜種です。ただし、この亜種については、オーストラリアヨシゴイ、さらにはニュージーランドヨシゴイとして、独立した別の種として扱うべきだという学説も提唱されています。

関連項目

* サギ

参考文献

『世界の動物｜分類と飼育　コウノトリ目+フラミンゴ目』、財団法人東京動物園協会、1985年、37頁

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