ヒュルル…1985

『ヒュルル…1985』（WHISTLING…1985）は、1985年に制作された橋口亮輔監督の日本映画です。橋口監督自身も主演を務め、自主映画制作に携わる若者たちの生き様と、繊細な恋愛模様を描き出しています。

この作品は、1986年開催の第9回ぴあフィルムフェスティバル（PFFアワード）において、604本の応募作品の中から選出される快挙を成し遂げました。これは、当時の若手映画監督たちの才能と情熱が凝縮された作品であったことの証左と言えるでしょう。映画祭での受賞は、作品の高い評価と、その後の公開への道を切り開く重要な一歩となりました。

映画の内容は、自主制作映画に挑む若者たちの葛藤や喜び、そして友情や恋愛といった普遍的なテーマを丁寧に描いています。特に、監督である橋口亮輔とヒロインである渡辺るみ子との間の、淡くも切ない恋愛模様は、作品全体に繊細な感情を吹き込んでいます。自主制作映画という環境の中で生まれる、人間関係の機微や、夢を追いかける若者たちの揺れる心情が、リアルに表現されています。

『ヒュルル…1985』は、単なる青春映画の枠を超え、日本のインディペンデント映画の歴史において重要な位置を占める作品と言えるでしょう。その影響は、後の日本のインディペンデント映画シーンにも及んでいると言われています。

作品の上映は、2005年の第14回東京国際レズビアン＆ゲイ映画祭で『ファ』との同時上映という形で実現しました。その後、2008年には『日本インディペンデント映画史シリーズ①PFF30回記念ぴあフィルムフェスティバルの軌跡vol.1』の一環として、再び観客の前に姿を現しました。これらの再上映は、作品が時を超えてなお、多くの人々を魅了する力を持っていることを示しています。

『ヒュルル…1985』は、若き日の橋口亮輔監督の才能と情熱、そして自主映画制作の情景が鮮やかに刻まれた作品です。彼の後の作品群を理解する上でも重要な作品であり、日本のインディペンデント映画史を語る上では欠かすことのできない、貴重な記録と言えるでしょう。監督自身のインタビュー記事も公開されており、作品制作の裏側や、当時の心情などを知ることができる貴重な資料となっています。この作品を通して、日本のインディペンデント映画の豊かな歴史と、若き才能の輝きを改めて感じることができるはずです。

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