ヒュンダイ・TB

TBの概要

TBとは、韓国の現代自動車によって2002年から生産・販売されているサブコンパクトカーである。このモデルは、日本市場では開発コード名のTBがそのまま車名として使用されている。これは、製品名「Think Basic」に由来し、世界戦略車として位置付けられている。

TBは、基本となるモデルに加え、派生車種としてクロスオーバー版のGetz Crossなども存在する。試作車には、軽量なオールアルミボディを採用したものや、ハイブリッド仕様などのバリエーションが存在している。

日本市場での販売経緯

2002年10月に日本市場に投入されたTBは、9万円弱という魅力的な価格設定で登場したが、スズキ・スイフトや各種軽自動車といった競合が多い中で厳しい状況に直面した。TBはそのスタイルが地味であるため、商品訴求力に欠け、販売面での苦戦が強いられることとなった。しかし、欧州での設計開発に基づく性能は、高速走行時に独特の安定性を提供し、一部の層に熱烈なファンを持っている。特に、BBCの『トップ・ギア』でも高く評価されたことがある。

2002年から引き続き、1,300ccのSOHC 12バルブガソリンエンジンモデルが日本に輸入された。このモデルは、非常に高速寄りのギヤレシオを採用しており、100km/hでのエンジン回転数はおよそ2,300rpmに達し、市街地では力不足を感じさせる。加えて、燃費性能もなかなか向上しなかったが、2005年に行われたマイナーチェンジでは、ギヤ比が改善され、燃費の向上が見られた。

マイナーチェンジの影響

2005年のマイナーチェンジでは、外観の意匠が変更されるとともに、エンジンが1,400ccのDOHC 16バルブに移行し、ギヤ比も市街地走行に適した設定に改良された。しかし、モード燃費の面では若干の悪化がみられた。これにより、TBは市街地での走行性能が改善された。

TBはまた、正確なスピードメーターを持ち、220km/hまでのレンジが設定されている。ウィンカーレバーは日本車に倣いハンドルの右側に装備され、利便性に配慮されている。加えて、環境基準についても平成17年排ガス基準75%低減の「★★★★」認定を取得している。

衝突安全と標準装備

TBは沖縄では期間限定でレンタカーとして使用されており、レンタカー用の最小装備グレード(GL)以外は盗難警報システムが標準装備されている。また、ライトの消し忘れによるバッテリー上がりを防止する機能や、電装品の自動消灯システムも実装されており、ユーザーにとって便利な特徴が備わっている。さらに、国や地域によっては1,600ccエンジンや3ドアボディ、サンルーフやリアフォグランプ、ステアリングオーディオコントロールといったバリエーションがある。

国際的な名称

日本ではTBという名前で知られるが、韓国では「クリック（Click）」、他の地域では「ゲッツ（Getz）」という名称が使用されている。南米市場では、クライスラーにOEM供給されてダッジ・ブリザ（Dodge Brisa）としても販売されている。日本市場におけるTBの名称の由来は、「Click」が他社に商標登録されていて、また「Getz」がトヨタのヴィッツと名称が似ていたため、TBが選ばれたとのことだ。

現状と後継モデル

2006年には、現代自動車がFIFAワールドカップドイツ大会の公式パートナーとして特別モデルが登場したものの、2008年には後継モデルであるi20が登場している。その後TBは生産・販売が続けられたが、2009年11月に現代自動車が日本市場から撤退したため、TBの販売も終了した。

このように、TBは日本市場において独自の経歴を持つサブコンパクトカーであり、欧州設計の走行性能と意外な魅力によって一部の愛好者に支持され続けている。

もう一度検索