ヒューストン (原子力潜水艦)

USS Houston (SSN-713)について

USS Houston (SSN-713)は、アメリカ海軍に所属するロサンゼルス級原子力潜水艦の第26艦で、テキサス州ヒューストンの名に由来します。この艦は、同名の艦としてはクリーブランド級軽巡洋艦に続いて4隻目の存在となります。

建造と進水の経緯

USS Houstonの建造は、1975年8月1日にバージニア州のニューポート・ニューズ造船所で発注され、1979年の1月29日に起工されました。艦は1981年3月21日にバーバラ・ブッシュ夫人によって命名され、進水しました。その後、1982年9月25日にG・H・メンシュ大佐の指揮のもとで正式に就役しました。

映画『レッド・オクトーバーを追え!』との関わり

1990年に公開された映画『レッド・オクトーバーを追え!』では、ヒューストンが姉妹艦のダラス (USS Dallas, SSN-700) を演じました。この映画の撮影は1989年6月に行われましたが、ヒューストンはいくつかの問題を抱えながらの撮影でした。撮影前には、バルブの故障が発生し、撮影中には曳航ケーブルによってバーコナというタグボートが沈没する事故も起きています。さらに、カリフォルニア州へ向かう途中、漁船の漁網に接触するトラブルもありましたが、幸いにも負傷者は出ませんでした。

訓練中の事故

1989年7月1日に行われた訓練中、潜望鏡深度での低圧換気の際に海水が換気口から流入する事故が発生しました。艦艇は急激に浮上し、海水の影響で前方に傾いてしまいました。この際、バッテリー室に海水が到達し塩素が発生する危険な状況となりましたが、ヒューストンは全出力で推進力を回復し、なんとか海面に浮上しました。

その後、低速で基地に帰港した際、メインシュノーケルのバルブが適切に閉じられていないことが判明し、事故を引き起こす原因となりました。この事故により、8名の乗組員がヒューストンから転属となりましたが、全員が潜水艦勤務から外れたわけではありません。

続くトラブル

ヒューストンに待ち受けていたのは、これだけのトラブルではありませんでした。1989年8月1日には電気系統の故障が原因で機関室で火災が発生し、9月には操縦ミスにより訓練中にヘリコプターから発射された魚雷に接触しかけるという事態が発生しました。また、11月には操縦ミスでソナーアレイを失う結果となり、その後も艦の運用には多くの困難がついて回りました。

まとめ

USS Houstonは、その艦名に込められた歴史や、映画と入り混じった数々の出来事によって、特異な存在感を持つ原子力潜水艦です。艦の運用が始まって以来、多くの困難と挑戦を乗り越えてきたヒューストンは、アメリカ海軍の歴史に名を刻む艦艇の一つとなっています。

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