ヒルトン・スミス

ヒルトン・スミス（Hilton Lee Smith）は、1907年2月27日にテキサス州ギディングスで生まれ、1983年11月18日に亡くなった、1930年代から1940年代にかけてニグロリーグで活躍した右投右打の野球選手です。主に投手として活躍しました。

プロ入りとニグロリーグでの活躍

スミスは、テキサス州オースチンのマイナー球団でプロとしてのキャリアをスタートさせました。1932年にはルイジアナ州のモンロー・モナークスに入団し、チームはニグロリーグのワールドシリーズに進出しましたが、ピッツバーグ・クロフォーズに敗れました。1935年までモンローに在籍した後、ノースダコタ州のセミプロチームでプレーしていましたが、1936年にチームがカンザス州のトーナメントに出場した際、彼の投球がカンザスシティ・モナークスのスカウトの目に留まり、モナークスと契約しました。

スミスの持ち味は、浮き上がるような速球と鋭いカーブ、そして抜群のコントロールでした。1937年にはシカゴ・アメリカン・ジャイアンツを相手にノーヒットノーランを達成。モナークスでは、ニグロリーグやその他の交流試合を含め、毎年20勝以上を挙げていたとされ、1938年以降は5年連続でリーグの最多勝利投手となりました。1939年から1942年までの4年間では、93勝11敗という驚異的な成績を残し、1941年には最多勝利投手となると同時に、無敗でシーズンを終えました。また、ニグロリーグの東西オールスターゲームには1937年以降6年連続で出場し、ニグロ・ワールド・シリーズにも1942年と1946年に出場。シリーズでの通算防御率は1.29という記録を残しています。オフシーズンには、キューバやベネズエラのウィンターリーグにも参加していました。

メジャーリーグの誘いと引退後

メジャーリーグのカラーラインが撤廃された後、スミスはメジャーリーグからの入団の誘いを受けましたが、ニグロリーグでの待遇が上回っていたため、オファーを断りました。1948年に球団が売却されたことに伴い、スミスはチームを離れ、選手を引退。その後は教師や製鉄所などで働き、シカゴ・カブスのスカウトとしても活動しました。

殿堂入り

晩年は、かつてのニグロリーグの選手達のアメリカ野球殿堂入りの支援活動に尽力しましたが、自身の活躍は同時代に活躍したサチェル・ペイジの陰に隠れ、なかなか評価されることがありませんでした。1983年にカンザスシティで亡くなりましたが、2001年にベテランズ委員会によってアメリカ野球殿堂入り選手に選出されました。

記録と評価

スミスの通算成績は161勝22敗、打率.326。メジャーリーグとの交流試合では、通算6勝1敗という成績を残しています。長年の功績が認められ、野球殿堂入りを果たしました。

ニグロリーグ時代の偉大な投手の一人として、ヒルトン・スミスの名は永遠に野球史に刻まれています。

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