ヒロシマナタリー

ヒロシマナタリーについて

ヒロシマナタリー（HIROSHIMA NATALIE）は、広島県廿日市市の阿品にあった遊園地で、1974年に開園し、多くの人々に親しまれました。総面積78,000平方メートルの埋め立て地に建設され、開業時の総工費は30億円にも及びました。この遊園地の運営は、地元のゼネコンのフジタ工業の関連会社である廿日市観光開発株式会社が担当しました。

ナタリーという名前の由来は、1937年に建造されたエンジン付き帆船「ナタリー号」にちなんでいます。この船はかつて地中海で使用され、1964年の映画『わらの女』にも登場しました。1971年にはこの船が自走して日本一周を果たし、その後ヒロシマナタリーに設置されました。

開園当初のキャッチコピーは「輝く太陽と海★大きなこころをテーマにした“海洋レジャーパーク”」で、ナタリーは日本初の海洋型遊園地としての位置づけでした。東洋で最大とされる観覧車を筆頭に複数のプールなど、当時の中国地方では他に類を見ない規模の遊園地でした。

1970年代には、サッカー教室やスイミングスクールといったスポーツ施設も併設され、地域のランドマークとなっていました。しかし、1980年代に入ると入園者数は減少し、1987年度には57万人を記録したものの、1995年度には35万人にまで落ち込みました。特に呉市に同規模のテーマパークがオープンした影響が大きく、1996年には遊園地としての機能を終え、会員制のスポーツクラブのみが残されました。

遊園地の跡地は現在、ショッピングセンター「フジグランナタリー」と、住宅地「ナタリーマリナタウン」に生まれ変わっていますが、いまだに「ナタリー」という名前が使用されています。経営を行っていた廿日市観光開発も、再開発事業に参加し、新たな商業施設の運営に関わっています。

当時、広島市周辺に遊園地は数多くありましたが、2022年現在で残っているのは「みろくの里」だけです。そのため、ヒロシマナタリーは広島の人々にとって想い出深い場所として記憶されています。お笑い芸人の有吉弘行や歌手のMEGなど、多くの有名人がナタリーでの思い出を語っていることも、地域に深く根ざした存在だったことを物語っています。

特にキャンディーズとの関係は注目されます。彼女たちはヒロシマナタリーのイメージキャラクターとして起用され、遊園地の広報活動に貢献しました。今や国民的アイドルとなった彼女たちが、遊園地オープン当初から訪れていたことも珍しくありませんでした。

ナタリーの遊具には、開園当初に設置された観覧車やプール、さらには日本初の海上ジェットコースターなども含まれ、訪れた人々は多彩なアトラクションを楽しみました。地域の人々の心に深く刻まれたヒロシマナタリーの存在は、その栄華を知る人々にとって今なお特別な思い出です。

やがて時間が経つにつれ、ナタリーは広島の観光名所としての役割を果たし続け、人々が集う場所であり続けました。彼女たちの思い出とともに、ヒロシマナタリーの名前は広島の歴史の一部として、これからも語り続けられるでしょう。

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