ヒーロー (郷ひろみのアルバム)

郷ひろみ ライブアルバム『ヒーロー』：70年代を彩るステージの熱気

1977年、日本の音楽シーンを華やかに彩っていた郷ひろみ。彼の4枚目のライブアルバム『ヒーロー』は、1977年5月21日、CBS・ソニーよりリリースされました。前作の『郷ひろみヒット全曲集』から約6ヶ月、ライブアルバムとしては『GO GOES ON!(Part2)〜HIROMI IN U.S.A〜』から8ヶ月ぶりの作品で、多くのファンから待ち望まれていたことは間違いありません。

このアルバムに収録されているのは、1977年4月1日と2日、中野サンプラザで開催されたライブの模様です。聴く者をその場へといざなうような臨場感あふれるサウンドが魅力で、郷ひろみのパワフルな歌声とステージパフォーマンスが余すことなく凝縮されています。特筆すべきは、収録曲の約半分が洋楽カバーで構成されている点です。

選曲は多岐に渡り、時代を彩った名曲の数々が郷ひろみによって新たな解釈で届けられています。ジョン・ポール・ヤングの「イエスタデイズ・ヒーロー」やウイングスの「愛しのヘレン」、エルヴィス・プレスリーの「アイ・ニード・ユア・ラヴ・トゥナイト」といった、当時、世界中で愛されていた楽曲の数々が、郷ひろみ独特のスタイルで表現されています。さらに、トム・ジョーンズ、ポール・マッカートニー、スージー・クアトロといったアーティストの名曲もカバーされており、郷ひろみの音楽的幅広さを感じさせる選曲となっています。

もちろん、日本の楽曲も収録されています。ミュージカル『ラ・マンチャの男』のテーマソングである「見果てぬ夢」は、郷ひろみの歌唱力が際立つ名演と言えるでしょう。また、オリジナル曲である「恋の弱味」「あなたがいたから僕がいた」「真夜中のヒーロー」など、郷ひろみ自身の魅力が詰まった楽曲も収録されており、アルバム全体のバランスの良さを感じさせます。これらの楽曲は、郷ひろみの歌唱力と表現力の高さを示す、まさに「ヒーロー」の名にふさわしいパフォーマンスとなっています。

バックバンドには、前作、前々作に引き続き、スーパー・ジェッツが参加しています。スーパー・ジェッツの卓越した演奏技術と、郷ひろみの歌唱が完璧な融合を見せ、ライブの熱気をそのままパッケージングしたような、臨場感あふれるサウンドを生み出しています。彼らが奏でるサウンドは、楽曲の魅力をさらに引き立て、聴くものの心を揺さぶる力を持っています。

『ヒーロー』は、単なるライブアルバムではありません。70年代の音楽シーンを代表するアーティスト、郷ひろみの実力と魅力が凝縮された、まさに「ヒーロー」の名にふさわしい、記念碑的な作品です。郷ひろみのファンはもちろんのこと、70年代の音楽に興味のある方、そして、質の高いライブパフォーマンスを味わいたい方にとって、必聴の一枚と言えるでしょう。その熱気と感動は、時を経てなお、私たちの心を掴んで離しません。

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