ビッグママ・ハウス

『ビッグママ・ハウス』

2000年に製作されたアメリカ合衆国のクライム・コメディ映画、『ビッグママ・ハウス』（原題: Big Momma's House）は、その大胆な設定と主演俳優の熱演で話題を呼んだ作品です。ラジャ・ゴズネルが監督を務め、俳優マーティン・ローレンスが一人二役ならぬ、特殊メイクによる驚きの変身を遂げて主人公を演じます。

この映画の最大の魅力は、主人公のFBI捜査官が巨大な体格の女性に変装するという奇想天外なアイデアにあります。この変装を実現した特殊メイクは特に注目に値し、『ミセス・ダウト』でアカデミーメイクアップ賞を受賞したベテランのグレッグ・キャノンが担当しています。彼の手腕によって、マーティン・ローレンスは見事に老婦人「ビッグ・ママ」へと生まれ変わり、物語にリアリティと同時に絶妙なコメディ要素をもたらしています。

ストーリー概要

物語の中心となるのは、有能なFBI捜査官であるマルコム・ターナーです。彼は相棒のジョンとともに、ある重要な任務にあたります。それは、銀行強盗で服役中に脱獄した凶悪犯、レスター・ヴェスコの行方を追うことです。レスターはかつての恋人であるシェリー・ピアースと接触する可能性があり、その接触場所として有力視されたのが、シェリーの祖母、通称「ビッグ・ママ」の自宅でした。

マルコムたちは、ビッグ・ママの家を監視するため張り込みを開始します。しかし、任務は予期せぬ展開を迎えます。しばらく家を空けることになったビッグ・ママの留守中に、シェリーからその家に連絡が入るのです。絶好の機会を逃すまいと、マルコムは大胆な作戦を決行します。それは、なんと自分自身がビッグ・ママになりすまし、シェリーに接触するというものでした。

特殊メイクで巨大な老婦人に変身したマルコムは、シェリーの前に現れ、彼女からレスターに関する情報を引き出そうとします。しかし、本物のビッグ・ママとして振る舞わなければならない状況は、FBI捜査のプロであるマルコムにとっても想像以上に困難なものでした。シェリーとのやり取りの中で巻き起こる騒動や、本物のビッグ・ママの関係者たちが家にやってくるなどの事態に、マルコムは冷や汗をかきながらも必死に対応していきます。サスペンスフルな捜査と、変装が生み出すコミカルなシチュエーションが見事に融合し、観客を惹きつけます。

キャストと制作

主演のマーティン・ローレンスは、鋭い洞察力を持つFBI捜査官マルコムとしての姿と、温厚で豪快なビッグ・ママとしての姿を見事に演じ分け、作品に深みを与えています。彼の全身を使った演技とコメディセンスが、このユニークなキャラクターに命を吹き込んでいます。

日本語吹替版の制作においては、アンゼたかしが翻訳を、高橋剛が演出を担当し、ビデオテックが制作を手がけるなど、日本の観客に作品の魅力を届けるための布陣が組まれました。

この映画は、その斬新な設定と主演のコミカルな演技、そして見事な特殊メイクが高く評価され、クライム・コメディのジャンルで一定の地位を確立しました。映画に関する情報は、各種映画データベースやレビューサイト（例: Rotten Tomatoes, Metacritic, allcinema, KINENOTE, IMDbなど）でも確認できます。

サスペンスとコメディが絶妙にブレンドされた『ビッグママ・ハウス』は、観る者を楽しませるエンターテインメント作品として、今なお多くの映画ファンに親しまれています。

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