ビッグ・バーン (ディスカウントストア)

ビッグ・バーンとは

ビッグ・バーンは、かつてイオングループの中核企業であったジャスコ株式会社（現在のイオン株式会社）が運営していたディスカウントストアの名称です。現在のイオンが展開するディスカウントストア「ザ・ビッグ」とは系譜が異なり、独立した事業として展開されました。

事業の始まりと展開

ジャスコがディスカウントストア業態に可能性を見出し、この分野への参入を決定したのは1980年代初頭のことです。その契機となったのは、1981年12月に長野県松本市でディスカウントストアを運営していた「サンアイ」との業務提携でした。ジャスコはサンアイの保有する5店舗を引き継ぐ形で、ディスカウント事業へと本格的に足を踏み入れました。

提携相手であるサンアイは、その後1985年に商号を「ビッグ・バーン」に変更。さらに1987年には「ビッグ・バーン信州」へと再び商号を改め、これとは別に新会社「ビッグ・バーン」が設立されるなど、複雑な展開を見せました。ジャスコ本体でも、1990年8月には本部にディスカウントストア事業専門の部署である「DS事業部」が設置され、グループ全体でディスカウントストア事業を推進する体制が整えられました。

ビッグ・バーン信州の歩み

ディスカウントストア事業の中核を担った一つが、旧サンアイを起源とするビッグ・バーン信州でした。ビッグ・バーン信州は、1993年8月には長野県でホームセンターを展開していた「ジョイハウス」を合併し、事業規模の拡大を図りました。しかし、既存店舗の規模が比較的小さかったことや、競争相手となる店舗の出現により、業績は次第に悪化していきました。

経営不振が続いたため、ビッグ・バーン信州は採算の取れない店舗を順次閉鎖するリストラを進めました。そして1996年2月には、残っていた6店舗の営業を同じグループ内の信州ジャスコ株式会社（現在のイオンリテール株式会社の一部）に譲渡し、会社そのものが解散することとなりました。なお、長野県内のその後の店舗展開については、信州ジャスコの歴史に引き継がれています。

最盛期の店舗網と終焉

事業が最も拡大した時期には、複数の形態で店舗が展開されていました。ビッグ・バーン信州としては18店舗、新たに設立された会社としてのビッグ・バーンが6店舗、そしてジャスコ本体のDS事業部が運営する店舗が7店舗存在しました。これらの店舗の多くは、既存のジャスコ店舗や他の業態店舗からの転換によるものでした。

一方で、新会社として設立されたビッグ・バーンは、比較的早い段階で事業を縮小し、1992年2月には清算されています。

ビッグ・バーンというブランドが完全に姿を消すのは、1998年のことでした。同年8月17日に、岡山県岡山市にあった高島店が閉店したのを最後に、ビッグ・バーンの店舗は全てなくなりました。そして、その3日後の8月20日には、ジャスコ本部に設置されていたDS事業部も解散し、ジャスコグループにおけるビッグ・バーン事業はその歴史に幕を閉じました。

このように、ビッグ・バーンはジャスコが一時的にディスカウントストア分野で展開したブランドであり、現在の「ザ・ビッグ」とは直接的なつながりを持たない、独立した事業史を持つ存在でした。

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