ビデオリンク方式

ビデオリンク方式とは

ビデオリンク方式とは、裁判において証人を尋問する際に、証人を法廷外の場所に召喚し、映像と音声をモニターできる装置を用いて法廷から尋問する方法です。

概要

性犯罪被害者に法廷で証言させることは、精神的な苦痛を与えるだけでなく、セカンドレイプとも呼ばれる二次的な被害につながる可能性があります。しかし、刑事訴訟においては伝聞証拠禁止の原則があり、被告人や弁護側が証人の調書に同意しない場合、原則として証言を証拠として認めてもらうためには、法廷で証言する必要があります。

そこで、性犯罪被害者が証人として法廷に立つことによる精神的な負担を軽減するために、刑事訴訟法第157条の6（改正により条番号が変更）に規定され、2001年からビデオリンク方式が導入されました。2006年以降は民事裁判でも裁判長の指揮によって使用されるようになり、2009年には民事訴訟法第204条に規定され、法律で明記されました。

2005年4月14日、最高裁はビデオリンク方式について、刑事被告人の諸権利を規定した日本国憲法第37条や裁判の公開を規定した日本国憲法第82条に違反せず、合憲であるとの判決を下しました。

各訴訟法における規定

刑事訴訟法

刑事訴訟法では、ビデオリンク方式の対象となる証人について、以下の規定を設けています。

刑法（性犯罪関連）に違反する犯罪の被害者
児童福祉法や児童ポルノ禁止法に違反する犯罪の被害者
犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が法廷で証言すると精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者

民事訴訟法

民事訴訟法では、ビデオリンク方式の対象となる証人について、以下の規定を設けています。

証人が遠隔地に居住する場合
事案の性質、証人の年齢や心身の状態、証人と当事者本人またはその法定代理人との関係などから、証人が法廷で証言すると精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる場合で、裁判所が相当と認める場合

システム

ビデオリンク方式で使用される具体的なシステムは以下の通りです。ただし、各裁判所や裁判長の訴訟指揮によって変化する場合があります。

法廷ビデオモニター（裁判官席、検察官席、弁護人席および移動式）
別室ビデオモニター（証人用モニター、資料提示用モニター）
ビデオカメラ（複数台）
コントローラー（被告人や傍聴人の言動が証言に差し障る場合、裁判長の判断で法廷の映像をカットすることができます）

脚注

関連項目

証人

外部リンク

* 法務省 公判段階での被害者支援

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