ビナリ・ユルドゥルム

ビナリ・ユルドゥルムの政治キャリアと影響

ビナリ・ユルドゥルム（Binali Yıldırım、1955年12月28日生まれ）は、トルコにおいて著名な政治家として知られています。彼は首相、大国民議会の議長、公正発展党の党首などを歴任し、トルコの政治の重要な部分を形成してきました。2014年の大統領制への移行に伴い、彼は最後の首相となり、首相職が廃止されたことで、特異な歴史的立場に置かれています。

初期の経歴と専門的背景

ユルドゥルムは1955年にレファヒエで生まれ、アラビア語の「ビナリ」は「アリーの息子」を、また「ユルドゥルム」は「稲妻」を意味します。教育の面では、イスタンブール工科大学で海洋工学を学び、スウェーデンの世界海事大学で海上安全と環境保護についての専門的な研修を受けています。彼の技術的な知識は後の政治活動においても貴重な資産となりました。

ユルドゥルムは1994年から2000年までイスタンブール高速フェリーコーポレーションのCEOを担当しました。この期間中に、彼はエルドゥアン市長と連携し、フェリー事業の拡大を推進し、企業を成長させることに成功しました。しかし、彼は不正献金の疑惑により辞任を余儀なくされることになります。それでも彼はエルドゥアンとの強いつながりを持ち、公正発展党の創設メンバーとしての道を歩むこととなります。

政治的活動と政策

2002年の総選挙では、イスタンブールの選挙区から議員候補に出馬し、当選しました。彼は公約の一環として、アレヴィー派への政治的差別を減少させることを掲げました。以後、2002年から2011年まで運輸大臣を務め、2011年から2013年、2015年から2016年には運輸海事通信大臣として地上交通や航空業界の改革に尽力しました。

彼は750万ポンドの予算で各都市間を結ぶ高速鉄道の計画を発表し、初めてアンカラからコンヤに至る高速鉄道の建設を開始し、2014年にはこの路線をイスタンブールまで延伸させました。また、航空業界においては、老朽化したアドナン・メンデレス空港に国際線専用ターミナルを設置するなど、インフラの整備に注力しました。

2016年5月24日、ユルドゥルムはエルドゥアン大統領によって第65代トルコ首相に任命されます。就任直後から賛否を呼んだ大統領制への移行を打ち出しました。彼は特に政権の安定を図る必要があるとし、内政においても様々な議題を提案しましたが、その中には未成年者に対する性的暴行事件に関する法案もありました。これに対して議会からの反発があり、最終的には撤回に追い込まれます。

後期の活動と私生活

2018年には首相職を退任し、大国民議会の議長へと就任します。しかし、数か月後の2022年にはイスタンブール市長選に出馬するため、議長職を辞しました。この選挙ではエクレム・イマモールとの接戦を繰り広げますが、わずかな差で敗れる結果となりました。

議長を辞任した後、彼は2022年にアゼルバイジャンを訪問中に事故で負傷し、首都バクーの病院で治療を受けることになりました。

ユルドゥルムは家族を大切にし、妻と3人の子供を持っています。また、母国語であるトルコ語に加え、英語とフランス語にも堪能です。彼の経歴は、トルコの政治界における重要なポイントを示し、国家の重要な政策に影響を与え続けています。

もう一度検索