ビルナウイルス科

ビルナウイルス科（Birnaviridae）

ビルナウイルス科は、線状の2本鎖RNA2分子をゲノムとして持つ、直径約60nmの正20面体構造のRNA[[ウイルス]]の一科です。エンベロープを持たないため、エーテルに対する耐性があり、熱、酸、アルカリにも比較的安定な性質を持ちます。

特徴

ゲノム: 線状の2本鎖RNA2分子
構造: 直径約60nmの正20面体
エンベロープ: なし
耐性: エーテル、熱、酸、アルカリに対して比較的安定
宿主: 魚類、鳥類、昆虫、軟体動物など、幅広い生物に感染しますが、特に魚類に感染するウイルスとして重要です。

分類

ビルナウイルス科は、以下の属に分類されます。

Aquabirnavirus属:
伝染性膵臓壊死ウイルス（IPNV）: サケ科魚類に感染し、伝染性膵臓壊死症（IPN）を引き起こします。
黄色尾腹水ウイルス:
ベニ貝ウイルス:
Avibirnavirus属:
伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス（IBDV）: 若い鶏に感染し、伝染性ファブリキウス嚢病を引き起こします。免疫抑制を引き起こし、経済的な損失をもたらします。
その他、未分類のウイルスも存在します。

関連疾患

伝染性膵臓壊死症（IPN）: サケ科魚類に発生するウイルス性の感染症で、カタール性腸炎を引き起こします。稚魚や若魚で高い死亡率を示すことがあります。
伝染性ファブリキウス嚢病: 若い鶏に発生するウイルス性の感染症で、ファブリキウス嚢に炎症や出血を引き起こします。免疫機能が低下し、二次感染のリスクが高まります。
ウイルス性腹水症: モジャコの肝臓、膵臓に巣状壊死を引き起こす。

アコヤガイの大量死との関連

2019年以降、愛媛県の宇和海でアコヤガイの稚貝が大量死する事例が報告されていました。2022年2月1日、国と愛媛県の研究機関は、その原因がルナウイルス科に分類される新種のウイルスであることを発表しました。このウイルスがビルナウイルス科とどのように関連しているかについては、今後の研究が待たれます。

参考情報

獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4885006104
鹿江雅光、新城敏晴、高橋英司、田淵清、原澤亮編 『最新家畜微生物学』 朝倉書店 1998年 ISBN 4254460198
原澤亮 「動物ウイルスの新しい分類（2005）」 『獣医畜産新報』 58号 921-931頁 2005年 ISSN 0447-0192

関連項目

* ウイルスの分類

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