伝染性膵臓壊死症

伝染性膵臓壊死症

概要

伝染性膵臓壊死症（Infectious Pancreatic Necrosis; IPN）は、特にサケ科の魚類に感染するウイルス性疾患です。この病気は、ビルナウイルス科に属するAquabirnavirusというウイルスによって引き起こされます。感染が進行すると、膵臓に破壊的な影響を及ぼし、魚の健康を脅かします。

症状

感染魚の外部にはいくつかの特徴的な症状が見られます。まず、魚が異常な回転運動を示すことがあります。この運動は神経に影響を及ぼすためであり、魚が方向感覚を失う結果を招きます。また、体色が黒ずんだり、眼球が突出したりすることも報告されています。腹部が膨満し、通常とは異なる姿形が観察されることもあります。

内部的には、主に膵臓に損傷が見られ、膵外分泌腺の崩壊と壊死が起こります。これにより他の内臓にも壊死が及ぶことが多く、腹水が貯留することが頻繁に見られます。病魚の排泄物には大量のウイルスが含まれており、このウイルスは水槽内で広がる原因になります。さらに、垂直感染と呼ばれる母魚から卵への感染も観察されており、これにより新たな感染が広がるリスクが増加します。

病魚は、白色の糸状の糞を肛門から引きずることがありますが、これも一つの特徴的な症状とされています。

予防策

伝染性膵臓壊死症を防ぐためには、適切な衛生管理が非常に重要です。特に、器具や手指の消毒は、ウイルスの広がりを防ぐための基本的な措置となります。また、感染が確認された水槽については、徹底した消毒作業が求められます。これにより感染の蔓延を防ぎ、健全な魚の飼育を支えることが可能になります。

関連項目

この病気に関連する他の疾患として、ウイルス性腹水症があります。これはモジャコにおける肝臓や膵臓に巣状の壊死が見られる病気で、伝染性膵臓壊死症と同じく、魚の飼育における重大な問題を引き起こす可能性があります。

参考文献

伝染性膵臓壊死症に関する情報は、以下の文献からも得ることができます。

• - 畑井喜司雄ほか著『魚病学』、学窓社、1998年、ISBN 4873620775。

この病気についてのさらなる研究が期待され、予防策の向上が望まれています。

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