ビロードキンクロ

ビロードキンクロ（天鵞絨金黒）について

ビロードキンクロ（学名：Melanitta fusca）は、カモ目カモ科クロガモ属に分類される鳥類です。その名の通り、オスの羽毛がビロードのように見えることから名付けられました。主にユーラシア大陸北部や北アメリカ大陸で繁殖し、冬になると南下して越冬します。日本では、冬鳥として海岸や沖合で見ることができます。

分布

ビロードキンクロは非常に広い範囲に分布しており、その生息地は多岐にわたります。具体的には、以下の地域で確認されています。

ユーラシア大陸: アイルランド、イギリス、イタリア、ウクライナ、ロシア、中国、韓国、日本など
北アメリカ大陸: アメリカ合衆国、カナダ

亜種によって繁殖地が異なり、それぞれ以下のように分布しています。

アメリカビロードキンクロ (M. f. deglandi): 北アメリカ大陸北西部で繁殖
ヨーロッパビロードキンクロ (M. f. fusca): シベリア西部からヨーロッパ北部で繁殖
ビロードキンクロ (M. f. stejnegeri): シベリア東部で繁殖し、冬季に日本へ南下

形態

ビロードキンクロは、比較的大きめのカモで、全長は51～58cm、翼開長は90～99cmです。その特徴的な外見は以下の通りです。

全体: 次列風切が白いのが特徴で、和名の「キンクロ」は、この点がキンクロハジロに似ていることに由来します。
後肢: 赤紫色を帯び、水かきは暗色です。
オス: 全身が黒い羽毛で覆われ、目の下に三日月型の白い斑紋があります。上嘴の付け根には黒い瘤があります。虹彩は白、灰白色、または灰青色です。
メスと幼鳥: 全身が黒褐色で、目の周りに不明瞭な白い斑紋があります。虹彩は褐色です。嘴は黒色をしています。

亜種による形態の違いは以下の通りです。

アメリカビロードキンクロ (M. f. deglandi): 上嘴基部の瘤がやや大きく、嘴の色は橙赤色で、峰が黄白色です。
ヨーロッパビロードキンクロ (M. f. fusca): 上嘴基部の瘤が小さく、嘴の色は橙色で、先端や峰が黄色です。
ビロードキンクロ (M. f. stejnegeri): 上嘴基部の瘤が大きいのが特徴です。

分類

ビロードキンクロは、以下の3つの亜種に分類されます。

アメリカビロードキンクロ (Melanitta fusca deglandi): Pacific white-winged scoter
ヨーロッパビロードキンクロ (Melanitta fusca fusca): European white-winged scoter
ビロードキンクロ (Melanitta fusca stejnegeri): Asiatic white-winged scoter

生態

ビロードキンクロは、非繁殖期には海岸や海洋に生息し、繁殖期には沼地などを利用します。食性は動物食で、主に貝類を捕食します。

繁殖形態は卵生で、森林内の藪地に巣を作り、9～10個の卵を産みます。抱卵期間は約26～29日です。

関連項目

クロガモ属

参考文献

(参考文献情報は必要に応じて追記してください)

外部リンク

(外部リンク情報も必要に応じて追記してください)


ビロードキンクロは、その美しい羽毛と独特な生態から、多くのバードウォッチャーに愛されています。日本でも冬に見られる機会があるので、ぜひ観察してみてください。

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