カモ科

カモ科（カモか、Anatidae）

カモ科は、カモ目に属し、南極大陸を除く全大陸に生息する鳥類の一群です。この科は別名「ガンカモ科」とも呼ばれ、59属、172種が分類されています。それぞれの種は様々な形態や生態を持ち、特に水辺の環境に見られることが多いです。

分布

カモ科の鳥類は、主に淡水域や湿原、海洋などの水辺に生息しますが、アフリカ大陸の砂漠地帯やオーストラリア大陸、さらにはグリーンランドの内陸部などでは見られません。このことから、彼らの生息環境は水分が豊富な地域に限られています。

形態

カモ科の鳥類の中で、最大種はナキハクチョウ、最小種はアフリカマメガンです。彼らは比較的長い頸部を持ち、尾羽は短い種類が多く、全体として水に浮かびやすい平坦な脚部を持っています。多くの種は、幅広くやや平たい嘴を持ち、先端には鉤状の突起が見られます。その嘴の外縁には櫛状の薄い板（板歯）があり、水中の小型の食物をこしとる役割を果たしています。舌は厚く、棘状の突起が並んでいるため、食物を捕らえるのに適しています。また、後肢は胴体の後方に位置し、一部の種は地面を歩くのが苦手ですが、水中では非常に効果的に推進力を得ることができます。さらには、卵は白や淡黄色、青色で、斑紋は入っていません。

分類

カモ科は以下のように5つの亜科に分かれています：

• - リュウキュウガモ亜科（Dendrocygninae） - 2属9種
• - ゴマフガモ亜科（Stictonettinae） - 1属1種
• - ツメバガン亜科（Plectropterinae） - 1属1種
• - ガン亜科（Anserinae） - 14属37種
• - カモ亜科（Anatinae） - 38属122種

これらはハクチョウ、ガチョウ、マガモ、アヒル、カルガモ、オシドリなど、さまざまな鳥類を含んでいます。

生態

カモ科の種は多くが渡りを行うため、繁殖や生活環境への適応が見られます。しかし、一部の種は飛翔能力が制限されているため、渡りを行わないこともあります。日本での観察では、水田などで食事を取り、夜間には水域に戻る行動が確認されています。食べ物の種類も種によって異なり、植物の葉や果実、魚、貝など様々なものを摂取します。

繁殖方法は主に卵生で、多くの種は水辺に巣を作りますが、一部は樹洞や崖などで巣を作ることもあります。雛はすぐに巣を離れ、親に従って行動します。

人間との関係

カモ科の鳥類は肉、卵、羽毛を利用され、いくつかの種は家禽として飼育されます。さらに、狩猟の対象ともなり、個々の種がどのように利用されているかは地理的によって異なります。また、ガンはカモより大きくハクチョウより小さい水鳥の総称であることから、分類上の特徴も理解しておくことが大切です。

カモ科は生態系において重要な役割を果たし、観察者にとっても興味深い生物となっています。

もう一度検索