ビ・ヨンド 〜黒大将に見られてる〜

ビ・ヨンド～黒大将に見られてる～とその周辺作品についての詳細解説

1996年8月30日、シルキーズよりPC-9800シリーズ向けに発売された成人向けアドベンチャーゲーム『ビ・ヨンド～黒大将に見られてる～』。その後、2000年7月19日には『BE-YOND』のタイトルでWindows版がエルフよりリリースされました。PC-9800版のリメイクであるWindows版は、フルカラー、フルボイス化され、ピンクパイナップル制作のOVA第一話も収録という豪華仕様でした。

ストーリーと世界観

本作は、魔王の復活と、記憶喪失の主人公の宇宙冒険を描いています。伝説によれば、魔王は過去幾度も文明を滅ぼし、姿を消していました。今作では、記憶を失った魔王が、しもべを自称する少女と共に宇宙を彷徨う物語が展開されます。主人公は平和な生活を望むものの、魔王という存在ゆえに、周囲からの偏見や迫害に苦しみます。この世界観とシナリオは、『うたわれるもの』で知られる菅宗光氏の手によるものです。幾度も文明を滅ぼしてきた魔王の、記憶喪失という設定が物語に独特の緊張感と悲哀を与えています。主人公の葛藤、そして彼を取り巻く人々の思惑が複雑に絡み合い、予測不能な展開が続きます。

登場人物

魅力的なキャラクターたちが物語を彩ります。主人公である魔王（Windows版では宮本小十郎）は、記憶喪失で異形の姿で目覚め、自身の存在と周りの反応とのギャップに戸惑います。彼のしもべを名乗るレンは、物語が進むにつれて感情豊かになっていく変化も見どころです。

銀河艦隊を率いるエバ（刑事大佐）、ドジな賞金稼ぎのフェイ（神風フェイ）、王族としての生活に不満を抱え、周囲を翻弄するアメジスト（ミカルラの宝石）、聖母の異名を持つチャイム、そしてファーンの戦姫と呼ばれるベルモットなど、個性的なキャラクターたちが、主人公の旅路に様々な影響を与えます。各キャラクターの背景や人間関係も丁寧に描かれており、それぞれの思惑や葛藤が物語に深みを与えています。特にアメジストとベルモットの幼馴染関係は、物語における重要な要素となっています。

OVAと制作スタッフ

1998年には、ピンクパイナップルよりOVA全2巻が『ビ・ヨンド』のタイトルで発売されました。高いクオリティのアニメーションと、ゲーム版を忠実に再現したストーリーが評価されています。ゲーム版とは異なる表現や描写もあり、ゲームをプレイしたユーザーにとっても新鮮な体験となりました。

制作スタッフには、企画に乱交太郎、プロデューサーに大宮三郎と神田修吉、脚本に冨岡淳広など、当時を代表するクリエイターが名を連ねています。監督・演出はくりもとひろゆき、キャラクターデザイン・作画監督は山田俊也が担当。豪華なスタッフ陣によって、ゲームの世界観が見事にアニメーションで表現されました。主題歌「幸せの花束」（作詞：松本花奈、作曲：水島康宏、編曲：山本はるきち、歌：そのざきみえ）も、作品の世界観に合致した美しい楽曲となっています。

評価

OVA版は、キャラクター造形の巧みさや、古さを感じさせない魅力的なストーリー展開が評価されています。現在でも楽しめる作品として、高い評価を得ています。

まとめ

『ビ・ヨンド～黒大将に見られてる～』は、記憶喪失の魔王を主人公とした独創的な世界観、魅力的なキャラクター、そしてクオリティの高いOVAなど、様々な点で高い評価を受ける作品です。PCゲーム史において重要な作品の一つであり、今も多くのファンを魅了し続けています。ゲーム版、OVA版ともに、当時を知る世代はもちろん、初めて触れるユーザーにとっても、その魅力は色褪せることがありません。

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