ビーズ・ニーズ

ビーズ・ニーズ：禁酒法時代の甘い誘惑

ビーズ・ニーズ（Bee's Knees）は、ジンをベースに、レモンジュースとハチミツを加えた、シンプルながらも奥深い味わいのカクテルです。その名前は、直訳すると「蜂の膝」という意味不明な言葉ですが、禁酒法時代のアメリカで「最高のもの」「うってつけのもの」を意味するスラングとして使われていました。

禁酒法時代の苦肉の策から生まれた美味

ビーズ・ニーズが生まれた背景には、アメリカの禁酒法時代という特殊な時代があります。当時、粗悪な密造酒が出回っており、その品質をごまかすために、砂糖や果汁を加えて飲むのが一般的でした。ビーズ・ニーズは、そうした流れの中で、ハチミツの甘さとレモンの酸味で飲みやすくしたカクテルとして誕生しました。

レシピ

基本的なレシピは以下の通りです。

ドライ・ジン: 52.5ml
ハチミツ: 2tsp
レモンジュース: 22.5ml

作り方は簡単です。

1. ハチミツとレモンジュースをシェーカーに入れ、ハチミツが溶けるまで混ぜます。
2. ドライ・ジンを加え、氷を入れてシェイクします。
3. 冷やしたカクテルグラスに注ぎ、レモンピールやオレンジピールで飾り付ければ完成です。

バリエーション

ビーズ・ニーズには、様々なバリエーションが存在します。

ハニーサックル: ジンをホワイト・ラムに替えたもの。
ハニー・ビー: ジンをジャマイカ・ラムに替えたもの。
ビーズ・キッス: ジンをホワイト・ラムに替え、生クリームを加えたもの。
* ベボー: オレンジジュースを加えたもの。国際バーテンダー協会（IBA）のレシピにも採用されています。

知っておくと面白いビーズ・ニーズの歴史

カクテルブックにビーズ・ニーズの名が掲載されたのは、1934年に出版された『The Artistry of Mixing Drinks: Ritz Bar, Paris』と『World Drinks and How To Mix Them』が最古の記録とされています。しかし、カクテル史家の調査によると、1929年の新聞記事に、パリの女性専用バーで提供されていた「ハチミツとレモンを含む甘い飲み物」として紹介されており、それ以前から存在していた可能性も指摘されています。

現代に受け継がれるクラシックカクテル

ビーズ・ニーズは、禁酒法時代の苦肉の策から生まれたカクテルですが、そのシンプルで洗練された味わいは、現代でも多くの人に愛されています。バーで味わうのはもちろん、自宅でも手軽に作れるので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

甘さと酸味のバランスが絶妙で、口当たりの良いビーズ・ニーズは、食前酒やデザートカクテルとして最適です。また、ハチミツの優しい甘さは、疲れた心を癒してくれるでしょう。禁酒法時代のロマンを感じながら、ゆっくりと味わってみてください。

もう一度検索