ビートルズ '65

ビートルズ'65：アメリカを席巻した幻のアルバム

1964年12月15日、アメリカで発売されたビートルズのアルバム『ビートルズ '65』（Beatles '65）は、日本市場ではLPとしてリリースされなかった幻の作品です。しかし、8トラック・カートリッジテープやカセットテープとしては発売されており、一部のビートルズ・ファンには知られた存在でした。

このアルバムは、イギリスで発売された『ビートルズ・フォー・セール』をベースに、アメリカ市場向けに再編集されたものです。いくつかの楽曲がカットされ、代わりにアメリカ盤『ハード・デイズ・ナイト』に未収録だった「アイル・ビー・バック」や、シングルとしてヒットした「アイ・フィール・ファイン」、「シーズ・ア・ウーマン」が追加収録されています。『ビートルズ・フォー・セール』から外された楽曲は、後に『ビートルズVI』に収録されました。

アルバム・タイトルやジャケットデザインはイギリス盤と同様で、このアメリカ編集盤は、キャピトル編集盤『Rubber Soul (Capitol)』や『Revolver (Capitol)』と共に、2004年にリリースされたボックスセット『ザ・ビートルズ '64 BOX』（『THE CAPITOL ALBUMS VOL. 1』）に収録され、約34年ぶりに日本で正式に発売されました。これは、長年のファンにとって大きな喜びであったことは言うまでもありません。

『ビートルズ '65』は、アメリカで爆発的な人気を博し、『ビルボード』誌のTop LPsチャートで9週連続1位を獲得、300万枚以上のセールスを記録するなど、商業的にも大成功を収めました。このアルバムは、ビートルズのアメリカにおける圧倒的な人気を改めて証明する重要な作品となっています。

収録楽曲とメンバーの貢献

アルバムの楽曲の大部分は『ビートルズ・フォー・セール』からの選曲ですが、前述の通りいくつかの楽曲が追加されています。レノン＝マッカートニーの作品が中心ですが、ジョージ・ハリスンがリードボーカルを務めた楽曲も含まれています。

各メンバーの演奏も聴きどころです。ジョン・レノンはリズムギターに加え、ハーモニカやリードギターも担当しています。ポール・マッカートニーはベースだけでなく、ボーカル、アコースティックギター、ピアノ、ハモンドオルガンと多様な楽器を演奏し、楽曲に幅を与えています。ジョージ・ハリスンはリードギターだけでなく、リードボーカルやアコースティックギター、さらにアフリカンドラムも演奏し、多彩な才能を示しています。リンゴ・スターはドラムとパーカッションを担当し、時にリードボーカルも務めています。

プロデューサーはジョージ・マーティンが務め、ピアノ演奏も担当しています。マーティンの音楽的才能が、ビートルズの楽曲の魅力をさらに引き立てています。

まとめ

『ビートルズ '65』は、日本未発売だったにも関わらず、アメリカで大ヒットしたビートルズの隠れた名盤です。アメリカ市場向けに再編集されたこのアルバムは、ビートルズの音楽性と商業的な成功の両面を理解する上で、重要な作品と言えるでしょう。長らく日本でのリリースが待たれていた作品が、ボックスセットとして発売されたことで、日本のビートルズ・ファンは改めてその魅力を再確認することができました。このアルバムは、ビートルズの歴史における重要な一ページを飾る作品として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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