ビートルズ No.5!

ビートルズNo.5!：日本独自のビートルズ体験

1965年、東芝音楽工業から発売された『ビートルズNo.5!』は、日本におけるビートルズの5作目のアルバムです。このアルバムは、日本市場向けに独自に企画・構成された作品であり、『ビートルズNo.2!』に続く、日本独自の編集によるアルバムとなりました。当時、オリジナルアルバム『ハード・デイズ・ナイト』と『ビートルズ'65』が既にリリースされていましたが、それらとは異なる選曲で構成されています。『ステレオ!これがビートルズVol.1』『ステレオ!これがビートルズVol.2』を除けば、ビートルズの活動期間中に日本で独自編集されたアルバムはこれが最後となります。

アルバムのジャケットデザインは、アメリカでリリースされた『ビートルズ'65』を参考にしていると考えられます。興味深いことに、初リリース時はモノラル盤のみで、ステレオ盤は存在しません。これは、収録されている一部楽曲（例えば「アイ・フィール・ファイン」や「シーズ・ア・ウーマン」など）のリアル・ステレオ・ミックスが、当時まだ公式に発表されていなかったためです。そのため、アルバム全体をモノラル・ミックスで統一する必要があったと考えられます。

音楽史における興味深い事実は、日本のオルタナティブ・ロックバンドであるナンバーガールのバンド名が、このアルバムに由来していることです。彼らの音楽性とビートルズのこの作品との間には、どのような繋がりがあったのでしょうか。想像力を掻き立てられるエピソードです。

長らくCD化されていませんでしたが、2014年6月、『ミート・ザ・ビートルズ＜JAPAN BOX＞』という5枚組CDボックスセットに収録されることで、初めてCDとしてリリースされました。このCD化にあたっては、1965年の発売当時の形態が可能な限り忠実に再現されています。紙ジャケット仕様で、CDジャケットには当時の東芝音楽工業株式会社の社名表記はありません。CD盤本体も、当時のレーベルデザインを踏襲しており、発売当時の解説文は高崎一郎氏によるものが使用されています。当時を知る人々にとって、特別な感慨を呼び起こす仕上がりとなっていると言えるでしょう。

このアルバムは、単なるビートルズの楽曲集ではなく、日本の音楽シーン、そしてビートルズの歴史において重要な位置を占める作品です。モノラル録音という点、日本独自の編集盤であるという点、そして日本のバンドに影響を与えたという点において、このアルバムは特別な存在感を放っています。ビートルズファンのみならず、日本のロック史に関心のある人にとっても、非常に興味深いアルバムと言えるでしょう。収録楽曲は、レノン＝マッカートニーによる楽曲を中心に構成されていますが、詳細な収録曲については、別途資料を参照ください。

この『ビートルズNo.5!』は、時代背景や制作過程を知ることで、さらに深い理解と魅力を発見できる、奥深いアルバムと言えるでしょう。日本におけるビートルズの歴史を紐解く上でも、重要な資料の一つと言えるのではないでしょうか。

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