ビートルズ VI

『ビートルズVI』は、1965年にアメリカとカナダでリリースされたビートルズのアルバムです。キャピトル・レコードから発売され、同時期に発表された様々なレーベルからの作品を含めると、彼らの9作目のアルバムにあたります。

このアルバムは、イギリスで発売されたアルバムとは異なり、アメリカ市場向けに編集されたものです。そのため、イギリス盤には収録されていない楽曲や、イギリスでは当時未発表だった楽曲も含まれています。具体的には、『ビートルズ・フォー・セール』からの6曲に加え、『ヘルプ！』からの数曲、そしてイギリスでは1966年まで発表されなかった「バッド・ボーイ」といった楽曲が収録されています。これらの楽曲は、ビートルズの幅広い音楽性を示す選曲となっています。

『ビートルズVI』は、アメリカで大きな成功を収めました。『ビルボード』誌のTop LPsチャートでは、6週連続で1位を獲得するという快挙を達成しています。その人気は、Music Canadaによるゴールド認定、アメリカレコード協会によるプラチナ認定という輝かしい実績からも明らかです。

しかし、イギリスにおけるビートルズのオリジナル・アルバムがCD化されると、アメリカ編集盤である『ビートルズVI』は、例外的に『マジカル・ミステリー・ツアー』を除いて廃盤となりました。これは、オリジナル・アルバムを重視する流れの中で、編集盤である本作が市場から姿を消したことを意味します。

その後、2004年にリリースされたボックスセット『The Capitol Albums Vol.2』によって、モノラルとステレオの両バージョンが初CD化され、長らく幻のアルバムとなっていた『ビートルズVI』は、再び世に出ることとなりました。このボックスセットは、ビートルズファンにとって、非常に貴重なコレクションとなっています。

『ビートルズVI』は、楽曲構成、チャート成績、そしてその後の展開など、様々な面で興味深いアルバムです。このアルバムは、ビートルズのアメリカにおける人気、そして彼らの音楽的多様性、そしてアルバムの流通形態の変化といった、様々な要素を物語っています。アメリカ市場を意識した選曲や、その後のCD化における扱いを通して、ビートルズの音楽史において重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

収録曲は、主に『ビートルズ・フォー・セール』からの選曲に加え、イギリス盤『ヘルプ！』からの選曲、そして当時イギリスでは未発表だった楽曲がバランスよく配置されており、アルバム全体として、ビートルズの初期の代表曲から隠れた名曲までを網羅した充実した内容となっています。レノン＝マッカートニーの作品を中心に、多様な楽曲が収録されている点も特徴の一つです。これらの楽曲は、彼らの才能と多様性を改めて示すものとなっています。

このように、『ビートルズVI』は、単なる編集盤というだけでなく、ビートルズの音楽性や商業戦略、そして音楽業界の変遷を理解する上で重要な資料と言えます。アメリカとイギリスの音楽市場の違いを理解する上で、重要な視点を提供するアルバムでもあるのです。

もう一度検索