ビームライフル

ビームライフルとは

ビームライフルは、小銃型の射撃競技用光線銃です。日本ライフル射撃協会の監修のもと、興東電子がキセノンランプを用いて、エアライフルの仕様に準拠して開発されました。エアピストルに準拠した拳銃型のビームピストルも存在します。また、NECパーソナルプロダクツが開発したレーザーを用いるデジタル銃器（デジタル・シューティング・システム、DSS）も、デジタルライフル、デジタルピストルとしてビームライフル競技で使用されています。

歴史

ビームライフルの開発は、銃規制の厳しい日本において、日本ライフル射撃協会が推進しました。実弾を使用する銃とは異なり、特別な資格や免許が不要なため、手軽な射撃スポーツ、ライフル射撃の入門として普及しました。

1975年の国民体育大会から正式種目として採用され、30年以上にわたり射撃選手の育成に貢献しました。しかし、2011年の大会で成年種目のビームライフル・ビームピストルは廃止され、現在は少年種目のみとなっています。ビームピストルは、レーザーを使用するDSSによるデジタル射撃方式へ移行が進んでいます。

DSSは日本ライフル協会がNECパーソナルプロダクツと共同開発し、2002年に導入されました。部品調達の困難から2007年に生産停止となりましたが、その後もビームピストル競技で使用が継続されました。日本ライフル射撃協会はデジタル射撃と称し、競技普及を目的とした「デジタル会員」制度も導入しています。

国際近代五種連合は、銃弾の鉛による環境汚染防止や銃規制の厳しい国での普及を考慮し、2010年に近代五種競技においてエアピストルの代替としてレーザーピストルを導入しました。これにより、精密な命中判定が可能になり、競技の深化に繋がるとされています。オリンピックでは、2012年のロンドンオリンピックで初めて導入されました。

仕様

ビームライフルの銃本体は、光線銃である点を除き、エアライフルの仕様に準拠しています。一般的な重量は4.5 - 5kgですが、低年齢の入門者向けには3.0kgのものも存在します。発射される光線はレーザーではなくキセノンランプの発光であり、カメラのフラッシュ発光が判定装置の誤作動を引き起こす可能性があるため、競技規則には観客のフラッシュ付きカメラの取り扱いに関する規定があります。ビームピストルの仕様は、エアピストルに準じています。

競技には、銃本体の他に、光検出器による標的装置、着弾位置の表示や模擬銃声の発音を行うディスプレイ装置、競技結果を出力するプリンターなどの周辺機器が必要です。これらの装置はLAN接続され、パソコンで集計されます。また、より手軽な練習用のセットも存在します。

デジタル銃器の競技機材は、赤外線レーザーを発射するデジタルライフル、デジタルピストルの他、デジタル標的とパソコンが基本構成となります。

使用・競技

ビームライフル競技は、基本的に国際射撃連盟（ISSF）競技規則のライフル射撃に準拠して行われます。標的の大きさは、エアライフルの7号標的に準じており、10点圏の大きさが1mmである点が、エアライフル競技と異なります（9号標的では0.5mm）。射撃姿勢には、立射と肘射があり、2姿勢の複合種目も存在します。

エアライフルを教習銃として使用する場合、所持者が学生コーチなどの公認資格を所有している必要がありますが、ビームライフルは銃器に公安委員会の許可が不要であり、コーチ資格も不要です。指定射撃場の認可も不要で、10mの射程が確保されていれば、一般の体育館や公民館を使用できるため、ジュニアを対象とする普及イベントが開催されています。

日本ライフル射撃協会は競技規則の「安全規定」において「銃器の安全な取り扱いは、エアライフル等となんら変わらない……」としており、射撃時以外の銃口カバーの実施や、標的以外の方向への照準禁止など、「光線銃といえども玩具銃ではなく、実際の銃である自覚を持つ」ことを競技者に啓発しています。

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