ピアニスト監禁事件

ピアニスト監禁事件

概要

1994年12月10日から1995年3月22日にかけて発生したピアニスト監禁事件は、オウム真理教によって引き起こされた衝撃的な一件です。この事件の中心となったのは、当時23歳で妊娠中の女性ピアニストです。彼女は1992年6月にオウム真理教に入信し、横浜支部で活動していましたが、この出来事は彼女の人生を一変させるものでした。

事件の経緯

事件は彼女が中学校の友人に誘われて、横浜道場に訪れたことから始まりました。道場で、彼女は謎の黄色い液体を飲まされ、その後意識を失い、山梨県上九一色村にある第6サティアンへと連れ去られてしまいます。そこで彼女は出家を強要されることとなりました。

12月27日、彼女は施設からの脱出を試みました。ボクシングの技術を駆使して抵抗したものの、教団の医師や看護師に捕まり、再び監禁されてしまいます。彼女はシールドルームから独房へと移され、そこで別の拉致された女性、鹿島とも子の長女と同室になることになりました。

生活状況

監禁されている間、彼女の食事は非常に限られたものでした。1日1回、パン、ビスケット、さらにはバナナが1本与えられるだけで、シャワーは2週間に1回の頻度です。彼女は厳しい状況の中で過ごすことを余儀なくされ、精神的にも大きな苦痛を味わいました。

彼女が麻原彰晃の写真を破るなどの行動を取ったため、手足を縛られ、林郁夫によって頭を殴打されるという暴力にさらされます。1995年1月12日、再度の脱出を試みるも失敗し、今度はチオペンタールナトリウムを投与され、コンテナに隔離されてしまいました。

脱出の試み

2月中旬、彼女はシャワー室で見つけたドライバーを用いて、コンテナの床板を分解しようと試みます。3月18日、ついに床板が外れましたが、残念ながらその下にはさらに鉄板があることが分かり、彼女は愕然としました。この間も精神的な抑圧は続き、彼女の状況は厳しさを増していきました。

事件発生から約3か月が経った頃、地下鉄サリン事件の後、オウム真理教には緊迫が高まり、彼女は第10サティアンに移されました。そこで彼女はレボメプロマジンやゾピクロンを投与されそうになったものの、飲むふりをしてなんとかその場を切り抜けます。

救出

最終的に、1995年3月22日、警察による強制捜査が行われる際、彼女は移動先の第10サティアンで捜索していた警察官に助けを求めることができました。これにより、彼女は約3か月間にわたる監禁から解放されることとなります。

この事件は、オウム真理教の非道な実態を浮き彫りにし、その後の教団に対する取り締まりのきっかけともなりました。彼女の経験は、教団に対する警鐘を鳴らす重要な例として記録され続けています。

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