ピアノのための7つのフーガ

エドヴァルド・グリーグ「ピアノのための7つのフーガ」

「ピアノのための7つのフーガ」は、ノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグが初期に作曲したピアノ作品です。グリーグがライプツィヒ音楽院で学んでいた時期に対位法の学習として作曲されたと考えられています。この作品は、グリーグの作品表にはほとんど掲載されておらず、近年になって手稿譜が発見されたことでその存在が明らかになりました。

作曲の背景

グリーグは、ベルゲン出身の作曲家でありヴァイオリニストのオーレ・ブルとの出会いがきっかけで、ライプツィヒ音楽院への留学を決意します。1858年の夏、グリーグ家を訪問したブルは、グリーグのピアノ演奏を聴き、その才能を認めて両親を説得しました。その結果、グリーグは1858年10月6日に音楽院に入学することができました。

音楽院では、ピアノをルイ・プレディ、E.F.ヴェンツェル、モシェレスに師事し、和声法と対位法をE.F.リヒター、R.パッペリツ、M.ハウプトマンらに学びました。そして、音楽院最後の年である1862年には、ライネッケに作曲の指導を受けました。この「7つのフーガ」は、1861年から1862年にかけて書かれたと考えられており、対位法の学習の一環として作曲されたと推測されています。

作品の構成

「ピアノのための7つのフーガ」は、全7曲から構成されており、演奏時間は約11分です。各曲はフーガの形式で書かれており、2声から4声の複雑な対位法が用いられています。以下に各曲の構成を示します。

第1曲：2声のフーガ ハ短調
第2曲：2声のフーガ ハ長調
第3曲：3声のフーガ ニ長調
第4曲：3声のフーガ イ短調
第5曲：4声のフーガ ト短調
第6曲：3声のフーガ ハ長調
第7曲：二重フーガ ト短調

この作品は、グリーグがバロック音楽の形式であるフーガに挑戦した初期の例として、大変貴重な作品と言えるでしょう。各曲の構成は、グリーグが音楽院で学んだ対位法の技術を駆使しており、若き日のグリーグの才能を垣間見ることができます。

作品の特徴

グリーグの「7つのフーガ」は、彼の他のピアノ作品とは異なり、バロック音楽の影響が色濃く反映されています。フーガという形式は、主題と対旋律が複雑に絡み合い、緻密な構成が求められます。この作品では、グリーグは各曲で異なる声部の組み合わせや主題の展開を試みており、フーガという形式に対する深い理解と、それを自身の音楽に取り入れようとする意欲が感じられます。

この作品は、グリーグの音楽的ルーツを理解する上で重要な作品であるとともに、ピアノ音楽の歴史においても興味深い作品です。グリーグのファンのみならず、バロック音楽やフーガに興味のある方にとっても、聴きごたえのある作品と言えるでしょう。

外部リンク

ピアノのための7つのフーガの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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