ピアノソナタ第19番 (シューベルト)

シューベルトのピアノソナタ第19番 ハ短調 D 958は、作曲家が死去する数ヶ月前の1828年9月に完成されました。これは彼の最晩年を飾る3つの重要なピアノソナタ（第19番、第20番、第21番）を構成する一曲であり、シューベルトの円熟した作曲技法と深遠な表現力が凝縮されています。

これらの3つのソナタは、当初、同時代の著名なピアニスト兼作曲家であったヨハン・ネポムク・フンメルに献呈される予定でした。しかし、1837年にフンメルが逝去したため、1839年にこれらの作品を出版したアントン・ディアベリによって、献呈先はロベルト・シューマンに変更されました。シューマンはこの3部作を高く評価し、シューベルトの偉大さを改めて世に知らしめる役割を果たしました。これら一連の作品については、3曲全体を俯瞰し、その創作過程や背景を論じた研究も多く存在します。

このソナタは全4楽章で構成されています。

第1楽章 アレグロ

ハ短調、4分の3拍子、ソナタ形式で書かれています。曲は、半音階を伴い力強く上昇する印象的な第1主題で幕を開けます。この主題には、ベートーヴェンの『創作主題による32の変奏曲』の主題との類似性が指摘されることもあります。対照的に、平行調である変ホ長調で提示される第2主題は、より穏やかで厳粛な性格を持っています。展開部では、幻想的な響きを伴う音形が現れ、3拍子のリズムが時に舞曲のような性格を帯びながら展開していきます。

第2楽章 アダージョ

変イ長調、4分の2拍子、ロンド形式。全体的に穏やかな雰囲気に満ちた、内省的な楽章です。主題が繰り返される間に挿入されるエピソードでは、自由な転調が巧みに用いられ、特に遠隔調であるホ長調へと移り変わる部分が聴き手に強い印象を与えます。

第3楽章 メヌエット (アレグロ) - トリオ

ハ短調からトリオ部で変イ長調へ転じ、4分の3拍子。伝統的なメヌエットとトリオの形式による楽章です。メヌエット主部は、右手によるオクターブ奏法を左手の伴奏が支える、比較的簡潔な構成を持っています。

第4楽章 アレグロ

ハ短調、8分の6拍子、ロンドソナタ形式。提示部の反復を欠く形式で書かれており、これはシューベルト最晩年のフィナーレにしばしば見られる特徴です。南イタリアの活気ある舞曲であるタランテラのような性格を持ち、力強く推進していきます。終楽章にタランテラを用いる手法は、彼の傑作である弦楽四重奏曲第14番『死と乙女』の終楽章にも見られます。この楽章の中には、あたかもリート（歌曲）のような、嘆きを帯びた旋律が現れる部分も存在し、単なる速い終曲にとどまらない深みを与えています。

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