ピアノ協奏曲第2番 (メンデルスゾーン)

メンデルスゾーンのピアノ協奏曲第2番 ニ短調 作品40, MWV O 11は、1837年にフェリックス・メンデルスゾーンによって作曲された作品です。

概要

この協奏曲は、メンデルスゾーンが作曲した最初のピアノ協奏曲である『第1番 ト短調』（作品25）からおよそ6年後の1837年に書かれました。後の傑作として知られる『ヴァイオリン協奏曲 ホ短調』（作品64）と同様に、楽章間に区切りがなく続けて演奏されるという共通点が見られます。ただし、『第1番』とは異なり、各楽章の間には主題的な関連性は認められません。

作曲のきっかけとなったのは、1837年にイギリスのバーミンガムで開催された音楽祭でした。この音楽祭で、前年に初演されたメンデルスゾーン自身のオラトリオ『聖パウロ』（作品36）が再演されることになり、その機会に新たなピアノ協奏曲の作曲依頼を受けました。メンデルスゾーンは同年夏に作曲を行い、短期間でこの作品を完成させました。初演は1837年9月21日、バーミンガム音楽祭にて、作曲者自身のピアノ独奏で行われ、聴衆から喝采をもって迎えられました。

なお、メンデルスゾーンは『ヴァイオリン協奏曲 ホ短調』とほぼ同時期にあたる1842年から1844年頃にかけて、ホ短調のピアノ協奏曲の作曲にも着手していました。しかし、この作品は第2楽章までのピアノスコアと第1楽章冒頭のオーケストレーションのみを残して放棄されました。これは、同じホ短調である『ヴァイオリン協奏曲』へと構想が引き継がれたためと考えられています。結果として、この『ピアノ協奏曲第2番』が、メンデルスゾーンにとって最後に完成されたピアノ協奏曲となりました。

楽器編成

独奏ピアノに加え、以下のオーケストラ編成で演奏されます。

フルート 2
オーボエ 2
クラリネット 2
ファゴット 2
ホルン 2
トランペット 2
ティンパニ
弦五部（第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）

楽曲構成

楽曲は全3楽章で構成されており、前述の通り、楽章間に中断なく連続して演奏されます。全体の演奏時間は約24分です。

第1楽章 アレグロ・アパッショナート

ニ短調、4分の4拍子、ソナタ形式。後の有名なヴァイオリン協奏曲ホ短調の第1楽章と雰囲気が似ており、きわめて幻想的な響きを持っています。未完に終わったホ短調のピアノ協奏曲が持つ豊かな幻想性が、形を変えてこの第2番の第1楽章に昇華されたと見ることもできます。情熱を秘めた第1主題と、神秘的で美しい第2主題が提示され、楽章全体の雰囲気を印象づけています。

第2楽章 アダージョ・モルト・ソステヌート

変ロ長調、4分の2拍子、ロンド形式。全体を通して、夢見るような抒情に満ちた楽章です。ピアノとオーケストラが穏やかな対話を行います。

第3楽章 フィナーレ：プレスト・スケルツァンド

ニ長調、4分の3拍子、ロンド形式。生き生きとした、メンデルスゾーン特有の優雅さにあふれた楽想が展開されます。フィナーレにふさわしい華やかさがあり、終結部では、管弦楽の総奏により堂々たる、そして華々しい盛り上がりを見せながら曲を閉じます。

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