ピアプロ

ピアプロは、クリプトン・フューチャー・メディアが運営するコンテンツ投稿サイトで、クリエイターが自身の作品を共有し、コラボレーションできる場として機能しています。2007年12月3日に開設され、初音ミクの登場による創作活動の活発化を背景に、消費者生成メディア（CGM）を推進する目的で設立されました。サイト名は「ピアプロダクション（peer production）」に由来します。

ピアプロの誕生と目的

初音ミクの登場は、音楽、イラスト、動画など、様々なジャンルでクリエイターによる創作活動を活発化させました。しかし、他者の作品を無断で使用するトラブルも発生していました。ピアプロは、こうした問題を解決するために、クリエイター同士が非営利などの条件下で作品を共有できる場を提供しました。これにより、無断二次利用といった権利上のグレーゾーンをなくし、健全なCGM文化を育成することを目指しています。

投稿可能な作品とライセンス

ピアプロでは、音楽、イラスト、テキスト、3Dモデルなどのオリジナル作品を投稿できます。これらの作品は、他の会員が二次利用することを前提としているため、著作権処理が適切に行われている必要があります。クリプトンが権利を持つVOCALOIDキャラクターの二次創作も許可されており、他の企業が発売するキャラクターも一部利用可能です。作品を二次利用する際は「創作ツリー」機能で元の作品を紐付ける必要があります。

作品には、改変を許可するかどうかなどのライセンス条件を設定できます。これは、クリエイティブ・コモンズ（CC）を意識したもので、作品を利用する際のルールを明確化するものです。ただし、クリエイティブ・コモンズとは異なり、営利利用の不可がデフォルト設定となっています。また、著作権者の氏名表示は必須ではなく、選択制となっています。

公式コラボレーション

ピアプロでは、会員同士の作品の利用だけでなく、企業や団体との公式コラボレーションも積極的に行われています。テレビ局、出版社、フィギュアメーカー、菓子メーカーなど、様々な分野でユーザー作品の発信や商品化が実現しています。これらの活動は、クリエイターが自身の作品が商品になることを体験し、創作活動のさらなる可能性を広げることを目的としています。PlayStation Portable用ゲームソフト「初音ミク -Project DIVA-」では、ピアプロで募集した楽曲やイラストが多数採用されました。

キャラクターのライセンス

クリプトンは、ユーザーの創作活動を支援するため、VOCALOIDキャラクターの改変や二次創作を原則的に認めています。ピアプロ内では「ピアプロ・キャラクター・ライセンス（PCL）」と「キャラクター利用のガイドライン」が公開されており、これらの規定に沿ってキャラクターを非営利で利用することが可能です。また、「ピアプロリンク」というシステムにより、非営利・有償での二次創作作品の頒布を簡易的に申請できます。

非営利利用に関しては、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス（CCL）のCC BY-NC 3.0（表示 - 非営利 3.0）も適用されています。PCLが国内法に基づいているのに対し、CCLは海外での利用を想定しています。ピアプロでは、氏名表示が必須ではない作品が多数を占めており、西洋文化圏に根ざしたクリエイティブ・コモンズとの違いが現れています。

ピアプロは、クリエイターが自由に作品を共有し、新たな創作を生み出すための重要なプラットフォームとして機能しています。

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